#70:LidoがDVTを導入、ソロステーキング簡略化の兆し

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

LidoがDVTを導入、ソロステーキング簡略化の兆し

コメント:宮本

Lidoは11月3日、DVT(Distributed Validator Technology:分散型バリデータ技術)を導入することを99%以上の賛成票を得て可決しました。DVTはソロステーキングの抱える問題点を解決するものです。DVTのメリットを理解するために、まずはソロステーキングの概要とその問題点からみていきましょう。

Ethereumでは、「バリデータ」という主体がブロックチェーン上の取引履歴を検証するような役割を果たしています。専用のPC(バリデータノードと呼びます)を用いて32ETHをデポジットすれば誰でもバリデータになることができ、バリデータとして取引履歴を検証すると報酬としてETHを受け取ることができます。このようにしてETHを稼ぐことを「ステーキング」と呼び、特に個人がバリデータノードを運用するステーキングのことを「ソロステーキング」と呼びます。

しかし、ソロステーキングを行うためには2つの大きな障壁が存在します。1つ目はコストの問題です。先述したようにステーキングを行うためには32ETHが必要となりますが、これは日本円に換算すると約1026万円(2023年11月10日時点)に相当します。個人にとっては高い初期投資であることは間違いないでしょう。2つ目は保守管理の問題です。Ethereumでは、バリデータノードが正常に稼働していない場合、その時間分だけペナルティとしてデポジットした32ETHの一部が没収されるような仕組みが採用されています。このため、ソロステーキングを行うためにはバリデータノードの定期的なモニタリングとメンテナンスが必要となり、これも大きな障壁となっています。

これらの障壁もあってEthereumにおけるバリデータノードの運用者は個人ではなく特定の機関に集中するようになりました。個人がステーキングを行う場合、こうした機関層が運用するバリデータノードにLidoなどのサービスを通じてETHをデポジットすることがほとんどです。しかし、このようなバリデータノードの集中化によって、Ethereumネットワークの分散化が妨げられることが懸念されています。

DVTは、ソロステーキングの負担を減らすことでソロステーキングを増やし、ネットワークの分散化を維持することを目的とした技術です。DVTを使用すると、バリデータの作業に必要な秘密鍵が暗号化&分割されて、複数のバリデータノードに分散して配置されます。これにより、1つのバリデータノードが正常に稼働していない場合でも、分割した秘密鍵を配置した他のバリデータノードが作業を引き継ぐことが可能になります。つまり、ソロステーキングを行う際の保守管理に関するハードルが低くなります。また、分割した秘密鍵を配置したバリデータノード全体で32ETHデポジットされていればよいため、個人にとっては32ETHよりも少ないETHでソロステーキングに参加できるというメリットもあります。

今回Lidoに導入されるのはObol LabsやSSV Networkと共同で開発したSimple DVTと呼ばれるDVTです。Simple DVTは実験的なDVTモジュールとなっており、あまり多くのバリデータノードを動かすことができないことが明記されています。LidoはSimple DVTでのテストを通して、今後数か月間でより複雑でスケーラブルなDVTモジュールを開発することを発表しています。

リキッドステーキング最大手のLidoがDVTに力を入れ、ソロステーキング支援に乗り出したことはEthereumの分散化にとって歓迎すべきことでしょう。DVTが普及することで、誰でも簡単にソロステーキングが実施できるようになることを期待したいところです。

UBSが香港でクリプト先物ETFを富裕層向けに解禁~クリプトETFの第二の中心地、香港で今何が?

コメント:中坪

スイスの金融大手、UBSグループが香港にて富裕層向けに暗号資産ETFを解禁する予定だとブルームバーグが報じています。関係者によると近いうちにUBSのプラットフォーム上で暗号資産先物ETFの取引が可能になるとのこと。取引ができるETFはSamsung Bitcoin Futures Active、CSOP Bitcoin Futures、CSOP Ether Futures ETFsの3種類で、これらはどれも香港の金融当局から認可を得ています。

香港では現地で最大の金融機関であるHSBCが今年の6月末から、上述の三つのETFの取引を同社のプラットフォームで解禁しています。今回のUBSの一手は暗号資産という新興市場においてライバルのHSBCに対抗するための布石と言えるでしょう。戦いの場に香港を選んだのには訳があります。香港は暗号資産関連の法規制で他国に先駆けることにより、より多くの暗号資産関連企業を誘致しようとしています。先行きの見通しが効いたビジネス環境を提供することでSECとの攻防が続くアメリカに代わるクリプトセンターとなることが狙いです。

また、今月に入って香港は暗号資産のスポットETFをリテール向けに認可するかどうか検討に入ったと報道されています。暗号資産の先物ETFだけでなく現物ETFの売買を可能にし、対象となる投資家層を拡大することでマーケット規模をさらに拡張させようとしています。

UBSが暗号資産ビジネスを本格的に進めていく上で、法規制面でクリプトフレンドリーな香港は非常に旨みのある国です。米国ではビットコインの現物ETFが承認されるのではないかと盛り上がりを見せており、ビットコイン価格も上昇を続けています。しかし、このような市況であえて米国ではなく香港を選んだことからは、まずは規制の方針が分かりやすい市場環境で勝負したいという思惑も透けて見えます。

今年はクレディスイスという巨大な金融グループが破綻したことをきっかけにUBSには注目が集まる一年となりました。最近では、クレディスイス破綻時に無価値化したことで問題になったAT1債をUBS自身が初めて発行し、活況となっていることが報道されるなど攻めの姿勢が伺えます。暗号資産市場でも精力的な動きを見せるのか期待です。

注目の資金調達(11/6~11/12

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Llama

日付: 11月06日
調達額: $6.00M
ラウンド: Seed
投資家: Founders Fundなど
カテゴリー: Infrastructure
プロジェクト概要: Llamaは、スマートコントラクトのオンチェーンガバナンスとアクセス制御を目的としたフレームワークです。チームは、特定の役割と権限を確立するために、個別のインスタンスを展開することができます。これらのインスタンスは、「アクション」と呼ばれるトランザクションの実行に対して特定の役割と権限を設定します。Llamaを使用することで、これらのインスタンスは新しい参加者を徐々に組み込み、利用可能なアクションの範囲を拡大することで、進化する状況に簡単に適応することができます。アクションには、スマートコントラクト内の関数を呼び出すことで実行できるさまざまな操作が含まれます。これには、資金の移動、レジストリの更新、プロトコルパラメータの変更、緊急停止の有効化などの活動が含まれます。Llamaは、チームがスマートコントラクトエコシステムを細かく制御し、効率的かつ適応性のあるガバナンスとアクセス制御メカニズムを確保することを可能にします。

Definitive

日付: 11月09日
調達額: $4.10M
ラウンド: Seed
投資家: Blocktower Capitalなど
カテゴリー: DeFi
プロジェクト概要: Definitiveは、分散型金融(DeFi)に特化した包括的な実行プラットフォームおよびAPIです。非保管型のスマートコントラクトや複数のDeFiプロトコルにわたる自動化機能など、さまざまなサービスを提供しています。 Definitiveプラットフォームは、個人および機関のDeFi投資家を対象とした使いやすいウェブアプリケーションです。現在、6つの異なるブロックチェーンネットワークで運用されており、20以上のプロトコルとシームレスに統合されています。統一されたユーザーインターフェースを提供することで、ユーザーはタブの切り替えやポートフォリオの常時更新の手間なしに、便利にすべてのDeFiポジションにアクセスすることができます。 Definitiveを使用することで、投資家は一か所でDeFi投資を管理する便利さを享受することができます。さまざまなプロトコルとの統合により、多様な投資機会にアクセスできる一方、非保管型のスマートコントラクトにより、資産のセキュリティとコントロールが向上します。個人投資家でも機関投資家でも、DefinitiveはDeFi投資戦略を簡素化し最適化するための強力なソリューションを提供します。

Mogul Club

日付: 11月10日
調達額: $3.60M
ラウンド: Seed
投資家: AY Venturesなど
カテゴリー: Others
プロジェクト概要: モーグルクラブは、ワシントンD.C.に本社を置く最近設立されたスタートアップで、個人が不動産オーナーになるという夢を実現するための支援を目指しています。この会社は、2人の元ゴールドマン・サックスの不動産投資家によって前年に設立されました。モーグルクラブの主な目標は、より広い観客にサポートとガイダンスを提供し、不動産投資の世界に参入することを可能にすることです。スタートアップは、自身の専門知識と経験を活用することで、大家になるプロセスを民主化し、より多くの人々にアクセス可能にすることを目指しています。モーグルクラブの革新的なアプローチは、不動産市場で成功するために必要な貴重なリソースとツールを提供することで、夢を持つ不動産オーナーの力を高めることを目指しています。包括性とアクセシビリティに焦点を当てたモーグルクラブは、人々が不動産投資に取り組む方法を革新し、最終的には彼らが大家になる夢を実現するお手伝いをします。

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