今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- ビットコインはメディアによるビットコイン現物ETFに関する誤報を受けて一時的にBTC=448万円(30,000ドル)付近まで高騰した。その後は金利見通しやパレスチナ情勢をめぐる不透明感が漂う中でBTC=426万円(28,500ドル)付近でもみ合いの展開となった。
- 来週のビットコインは金利見通しの思惑に左右されながらも方向感に乏しい展開を予想。直近、上値としてBTC=448万円(30,000ドル)、下値としてBTC=396万円(26,500ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC:現物ETFへの期待により上昇
ビットコインは、米SECがグレースケールとのビットコインETF転換をめぐる訴訟について上訴しない方針が明らかになったことを受けて、ビットコイン現物ETFへの期待が高まりBTC=426万円(28,500ドル)付近まで上昇した。大手暗号資産メディアのコインテレグラフが「ブラックロックのビットコイン現物ETFが承認」というヘッドラインをX(旧:Twitter)上で投稿し、それが拡散される中で一時的にBTC=448万円(30,000ドル)付近まで高騰した。しかし、ブラックロックが自ら事実を否定し、それが誤報であることが伝わるとたちまち急落した。その後、米国で本格化する企業決算を見極めようとBTC=426万円(28,500ドル)付近でもみ合いの展開となった。フィデリティがインベスコとアーク・インベストに続いてビットコイン現物ETFの申請内容を修正し、承認への期待で再び買いが強まる場面も見られた。しかし、金融引き締めが長期化するとの見方から米国金利の上昇が継続し、パレスチナ情勢も緊迫化する中で上値の重い展開となった。注目されたテスラの2023年Q3決算ではビットコイン保有量に変動はなかった。
今週のトピックス
金融市場
- 【イスラエル】米大統領、イスラエルとガザ両方への支援を表明
- 米地区連銀経済報告、経済見通しは「安定もしくは若干軟化」
- テスラ7─9月予想届かず、金利上昇を懸念 メキシコ工場に慎重姿勢
- ウォラーFRB理事、据え置き支持か-利上げ必要性「様子見は可能」
暗号資産市場
- SEC控訴せず グレースケールのビットコインETF転換訴訟で
- メタマスクがiOSの「App Store」から一時消滅 憶測飛び交う
- 「ビットコインETFは未だ審査中」ブラックロック関係者
- ビットコインETF申請の審査進捗について米SEC委員長がコメント
- ECB、デジタルユーロ発行に向け2年の準備フェーズ開始へ
来週の相場予想
BTCは金利見通しの思惑に左右されながらも方向感に乏しい展開を予想
米国では堅調な経済指標を受けて金利が上昇し続けており、主要企業の決算内容によってはさらにその水準を伸ばし、リスク資産の売りを強めるだろう。一方、先週より米国では連銀総裁やウォラーFRB理事らによるハト派寄りの発言が相次いでおり、今月末に控えるFOMCでの金利据え置きの見方が強まりつつある。当日を迎えるまでは金利見通しの思惑に相場が左右されながらも方向感に乏しい展開を予想する。
パレスチナ情勢の緊迫化によってリスク資産の売りが強まることが警戒される一方で、安全資産である金の価格が上昇しており、ビットコインも逃避資産としての見方から一部で買われることは考えられる。ビットコインドミナンスは52%付近まで上昇しており、暗号資産の中でもアルトコインからビットコインへ逃避する動きが強まっている。
米国のビットコイン現物ETFについては、今週の誤報によって相場が乱高下したものの、承認への期待の高さが改めて確認された。グレースケールのETF転換を含めて、各社は米SECに認められるため申請内容を見直すなどの努力をしており、時期の明言は難しいが、近く実現によって相場が上向くことは期待できるだろう。
直近、上値として今週の高値付近であるBTC=448万円(30,000ドル)、下値として先週の底値付近であるBTC=396万円(26,500ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- ユーロ圏、ECB理事会(10/26)
- 米国、7-9月期四半期実質GDP<速報値>(10/26)
- 米国、9月個人消費支出(10/27)
決算発表
- アルファベット【GOOGL】(10/24)
- マイクロソフト【MSFT】(10/24)
- アマゾン・ドットコム【AMZN】(10/26)
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