今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。
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目次
注目トピックス解説
Solanaがv1.16にアップデート、より機密性の高い送金が可能に
コメント:宮本
v1.16の新機能として、主に「Confidential Transfers」と「BN-128」の2つが挙げられます。まずはConfidential Transfersからみていきましょう。
Confidential Transfersは、ゼロ知識証明を用いてトークン残高と取引金額を暗号化した上でトークンの送金を行う機能です。その名の通り、より機密性の高い送金を実現することができます。Confidential Transfersは以前からSolanaの新しいトークン標準規格であるSPL Token22に実装されていましたが、今回のv.1.16アップデートによって初めて機能として利用可能になりました。取引アドレスについては秘匿されないため匿名性については担保されないものの、ネイティブでプライバシー機能が実装されたことによってAML/CFTの徹底が必要となる国・地域における暗号資産取引所の上場に影響を与える可能性が指摘されています。
次にBN-128についてみていきましょう。BN-128は、ゼロ知識証明に関する計算に用いられる楕円曲線の1つです。BN-128はEthereumにおいてはEIP-196やEIP-197、EIP-198によって実装されていますが、これまでSolanaにおいては実装されていませんでした。このため、BN-128を利用したEthereumスマートコントラクトをSolanaに移行する際に互換性の問題が発生していました。今回のv1.16アップデートによって、BN-128を利用したEthereumスマートコントラクトの移行や相互運用が行いやすくなりました。
これらの新機能の他にも、今回のアップデートによってバリデータに必要となるハードウェア要件が緩和されるなどの改善も実施されました。Solanaにおけるバリデータのハードウェア要件は他のPoSチェーンと比較しても高いことで知られています。特に厳しいのはメモリ要件で、v1.16アップデート以前は256GB以上に設定されており、実際の動作環境においても約120GBのメモリが使用されるような状況となっていました。v1.16アップデートによって実際の動作環境におけるメモリ使用量は約39GBにまで減少したことが 報告されており、Solanaにおけるバリデータへの参入がより簡単になったといえそうです。
春の到来を待つクリプト市場~2023Q3クリプト資金調達事情~
今週はMessariが公開している2023年Q3のクリプト業界における資金調達状況レポートから、冬の時代にクリプトへの投資はどこに向かっているのかについて、いくつかのグラフを抜粋しながらご紹介します。
まず、資金調達額ですが、強気相場の最高潮となった2022年Q1から減少が続いており、最近で最も相場が落ち込んだ2020年Q4と同等の水準まで下がっています。今四半期は件数297件で、資金調達総額は21億ドルを下回り、前の四半期からともに36%減少しました。調達ラウンドごとで見るとプレシード、シード、シリーズAのアーリラウンドが全体の48%を占めており、投資家たちは強気相場に転換した際の大きなリターンを狙った種まきをこの弱気相場で進めてきていることが伺えます。また、戦略投資の金額が21年Q4から順調に増加しており、当時は投資全体の0.2%しか無かったものが、現在22%まで上昇しています。厳しい市場環境の中で、各プロジェクトは短期のブリッジラウンドに逃げるか、大きなプロジェクトに買収されるかの二択を迫られている現状がここに現れています。
次にC向けDAppsの分野別資金調達額を見てみます。BCGが圧倒的な調達額(2500万ドル)を誇り、続くメタバース分野を金額、件数ともに大きく引き離しています。投資家を見てみると、バイナンスのCVCであるバイナンスラボが投資件数で最多の他、巨大VCのa16zもBCG分野でプレゼンスを大きくしているようです。投資件数が2件以上ある投資家はたった7つしかなく、ロングテール型の投資を受けているのがゲーム分野の特徴です。全体の投資件数でみてもバイナンスラボが頭ひとつ抜けており、クリプト業界の覇者は業界の行く末にも大きな影響力を持ち始めていると言えるでしょう。
最後に投資家の拠点別の投資件数を見てみましょう。SECとクリプト業界の争いが今年に入って激化している米国ですが、クリプトへの投資を行なった米国を拠点とする投資家の数は450件を超えており、2位のシンガポールと比べても4倍以上の差があります。これは全体の件数の54%で、民間ベースではクリプトマネーは依然として米国から生まれてきていると言えます。米国に続いて、シンガポール、英国、中学、スイス、そして韓国が続きます。東アジアでの投資が盛んになっている中、日本では法規制が整い始めているものの税制面で国内にクリプト関連企業が所在しにくいため、以前投資件数は非常に少ないのが実態です。近隣諸国との遅れを取り返せるかが重要となるでしょう。特に依然として金融緩和を続けているのはほぼ日本のみ今、市場に溢れかえった資金が国内のweb3企業に供給されることは国策としてweb3を進める日本としては必須となっていきます。引き続き、米国の動向に注視するとともに、春の訪れを前に国内での動きの活発化に期待したいと思います。
注目の資金調達(10/2~10/15)
※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。
Phaver
日付: 10月05日
調達額: $7.00M
ラウンド: Seed
投資家: Polygonなど
カテゴリー: Web3
プロジェクト概要: Phaverは、Web3環境に特化したソーシャルアプリであり、次世代インターネット内での許可なしおよび非保管システムの原則に基づいて運営されています。この革新的なプラットフォームは、AaveのLensプロトコルやCyberConnectを含む分散型ソーシャルグラフを容易にし、他のオンチェーンアセットのサポートも提供します。ブロックチェーン技術の力を活用することで、Phaverはユーザーが安全かつ透明な方法で相互作用し、つながることを可能にします。分散化に焦点を当てることで、Phaverはユーザーがデータとデジタルアセットを完全に制御できるようにし、仲介業者の必要性を排除します。さまざまな分散型プロトコルと統合することで、PhaverはWeb3エコシステムの原則に合致したユニークなソーシャル体験を提供します。
Hadean
日付: 10月06日
調達額: —
ラウンド: Strategic
投資家: Yuga Labsなど
カテゴリー: Infrastructure
プロジェクト概要: ハディアンは、メタバースの構築、運営、収益化に必要なインフラストラクチャと計算能力を提供します。魅力的なユーザーの相互作用を可能にすることで、ハディアンのオープンでスケーラブルなインフラストラクチャは、世界中の観客とのリアルタイムな接続を容易にします。ハディアンのサポートにより、ユーザーはメタバース内で没入型の体験をシームレスに楽しむことができます。同社の堅牢なインフラストラクチャと計算能力は、メタバースアプリケーションの作成と実行のバックボーンを提供し、スムーズでシームレスなユーザーエクスペリエンスを保証します。ハディアンのスケーラブルなプラットフォームにより、世界中のユーザー間でダイナミックな接続が可能となり、メタバースはより広範な観客に届けられます。ハディアンのテクノロジーを活用することで、ビジネスや開発者はメタバースのフルポテンシャルを引き出し、革新的で魅力的な仮想体験を創造することができます。
Ostium
日付: 10月06日
調達額: $3.50M
ラウンド: Undisclosed
投資家: General Catalystなど
カテゴリー: DeFi
プロジェクト概要: Ostiumはブロックチェーン上で実現される、商品や外国為替を含む現実世界の資産の永続的な取引を容易にする分散型取引所です。ブロックチェーン技術を活用することで、Ostiumは透明性と効率性の高い取引を仲介者なしで実現します。この革新的なプラットフォームにより、ユーザーは直接取引に参加でき、従来の取引所に関連する複雑さを排除します。 Ostiumを利用することで、参加者は幅広い現実世界の資産をシームレスに取引でき、分散化の利点を享受できます。
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今週のオンチェーン指標:Coinbase Premium Index
概要
Coinbase Premium Index(以下CPIと略す)は、CoinbaseのBTCUSDペアとBinanceのBTCUSDTペアの価格差と定義されます。
Coinbaseは、Coinbase Proという機関投資家向けの暗号資産取引プラットフォームを提供しており、取引ボリュームの大半をInstitutional層の投資家が占めています。一方、Binanceは主には個人投資家によって使われる世界最大の暗号資産取引所として存在しています。
2020年の暗号資産の強気相場では米国の機関投資家による市場参入をきっかけにCoinbaseのBTCUSDペアがBinanceのBTCUSDTペアに対してプレミアムが発生する事態が発生しました。それによりCPIはこれらの価格差から機関投資家層の暗号資産市場への関心度合いを探る指標として注目されるようになりました。
CPIが高くなっている場合、CoinbaseのクジラがBTCを蓄積している可能性があり、これはアメリカの機関投資家層がBTCに対して関心を強めていると考えられます。逆にCPIが低くなっていると、CoinbaseのクジラはBTCの売却に動いている可能性があり、これはアメリカの機関投資家層がBTCに対して興味を失っていることを表しています。
以下の図は、BTC価格とCPIを表示したものです。2020年10月から2022年4月までの期間、CPIは正の値となっていることから、プレミアムが常に発生したことを示しています。先ほど説明したように、アメリカの機関投資家層がBTCの価格上昇に貢献したことを示唆しています。一方、2022年の5月/11月に起きたTerra事件/FTX事件の時期には、CPIが負の値となり、大口の売りが大きかったことを示しています。2023年に入ってからは一部で機関投資家層によるBTCへの関心が戻りつつありますが、直近にかけては米国情勢の不透明感もあって再びそれが弱まっている様子がわかります。
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