今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。
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目次
注目トピックス解説
Ethereum次期アップグレード「Dencun」に新たなEIPが追加、新規ステーキング数を制限
コメント:宮本
Ethereum開発者コミュニティが9月14日に開催したミーティングにて、Ethereumの次期アップグレード「Dencun」に新たなEIP(Ethereum Improvement Proposals:イーサリアム改善提案)が追加されることが明らかになりました。
EIPは、Ethereumの新しい機能に関する提案の標準規格のことです。Ethereumの大型アップグレード時には機能追加のために多くのEIPが実装されます。直近では、今年4月に実施された大型アップグレード「Shapella」において5つのEIPが実装されました。
これまでDencunアップグレードでは、レイヤー2におけるガス代を大幅に削減するEIP-4844や、一時ストレージ規格であるEIP-1153などを含めた5つのEIPが実装予定となっていました。今回の発表によってさらに2つのEIPが追加され、合計7つのEIPがDencunで実装される見込みとなります。
今回新たに追加されるEIPは、 EIP-7514と EIP-7516の2つです。このうち、EIP-7516については軽微な機能追加となるため、ここではステーキングにとって重要な変更となるEIP-7514についてのみ解説します。
EIP-7514はステーキングを行うバリデータへの新規参加数を制限するものです。具体的には、バリデータへの新規参加数の上限を1Epoch(6.4分)あたり8バリデータに減らすようなEIPとなっています。このような制限が必要となった背景として、Shapellaアップグレード以降バリデータ数が急激に増加していることが挙げられます。現在、バリデータへの新規参加数の上限は1Epoch(6.4分)あたり12バリデータとなっていますが、この上限よりも多くのユーザーがバリデータへの参加を求める状況が続いており、 参加に要する待ち時間は10日以上となっています。一方で、バリデータからの退出を求めるユーザーは相対的に少ないため、このままのペースが続けば2024年5月までにETH時価総額の50%が、2024年9月までにETH時価総額の75%がステーキングに使用されると推測されています。
ステーキングに使用されるETHが増加することで、Lidoのようなリキッドステーキングサービスが発行するトークン(Liquid Staking Token:LST)も増加することになります。ここで問題となるのが、LSTはETHからは独立した流動性を持っているということです。Ethereum開発者コミュニティは、LSTの時価総額がステーキングされていないETHの時価総額を超えることでETH経済圏に未知の影響を及ぼすような経済的リスクを懸念しています。また、バリデータ数が増えることによる技術的リスクについても検討する必要があると考えています。
しかし、この問題に対する解決策についてはまだまとまっていません。Ethereum開発者コミュニティは、EIP-7514を導入することによってステーキングに使用されるETHの増加ペースを遅くし、LSTの問題に対する解決策を開発するまでの「時間稼ぎ」をしたいと考えているようです。
技術的リスクに対する解決策としては、すでに バリデータの残高を最大2,048ETHに変更する提案などが存在します。しかし、この提案は経済的リスクを軽減することができないため不完全です。Ethereumの未来において、技術的リスクと経済的リスクを同時に解決できる方法の発明が求められています。
野村HD子会社がビットコインファンドを設立~激化する国内大手金融のweb3での競争~
先週も大手金融機関の暗号資産業界へのコミットメントが進んでいます。野村ホールディングスのデジタルアセット子会社のLaser Digitalが機関投資家向けビットコインファンドを先週火曜日にローンチしました。最高レベルのリスクマネジメントとコンプライアンスにより、機関投資家はビットコインに対して安全に投資を行うことができ、これによって機関投資家のデジタル資産への参入を促す狙いがあります。また、カストディは同じく野村HDがLedger、CoinSharesと共に設立したKomainuが行い、野村HD全体でこのファンドを推進していくことが伺えます。
野村HDは国内の他の大手金融機関に先駆けてweb3分野での投資を進めてきました。今回ファンドをローンチしたLaser Digital社によるデジタルアセットマネジメント事業に並び、野村が力を入れているのがセキュリティトークン(ST)です。BOOSTRYというST事業子会社を設立し、証券会社というバックグラウンドを活かしたブロックチェーンおよびweb3によるソリューションを提供しています。証券トークンの発行・管理のためのSaaSやデジタル証券販売システムなどが例として挙げられます。また、証券トークンの発行と流通を加速するためのコンソーシアムを大和証券やSMBC日興証券ら国内大手証券会社、金融機関と形成しています。
国内の大手金融機関で同様の動きを進めているのは野村HDだけではありません。三菱UFJ信託銀行が中心となり、国内メガバンクグループの信託銀行やJPX総研、NTT DATAなどと共同で「Progmat」というSTやユーティリティトークン、ステーブルコイン等の基盤開発に取り組んでいます。こちらも国内におけるデジタルアセット市場の発展に向けたコンソーシアムを組成しており、そのメンバーには野村側のコンソーシアムで見かけた面々も含まれています。このように大手金融機関の間では子会社を通じたSTおよびweb3領域における主導権争いが繰り広げられているのが現状です。
注目の資金調達(9/11~9/24)
※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。
Mocaverse
日付: 09月11日
調達額: $20.00M
ラウンド: Equity Financing
投資家: CMCC Globalなど
カテゴリー: Web3NFTs
プロジェクト概要: Mocaverseは、ゲーム、文化、エンターテイメント業界に特化したWeb3向けのツールセットを開発しています。これらのツールは、ユーザーが独自のデジタルアイデンティティを確立し、評判を築き、忠誠ポイントを蓄積し、デジタルアイデンティティを活用してMocaverseエコシステムにアクセスすることができるようにすることを目指しています。このエコシステムは、450以上の企業を抱えるAnimoca Brandsによって支えられており、7億人以上の潜在的なユーザーに届くパートナーネットワークも持っています。Mocaverseの目標は、これらの分野のユーザーのニーズに対応する包括的なソリューションを提供し、デジタルワールドでの完全な参加と関与を可能にすることです。
Pahdo Labs
日付: 09月12日
調達額: $15.00M
ラウンド: Series A
投資家: Andreessen Horowitz(a16z)など
カテゴリー: Others
プロジェクト概要: Pahdo Labsは、ゲーム制作ツールを中心とした社会的な環境を開発することに重点を置いたゲームのスタートアップ企業です。プレイヤーに長く楽しんでもらうことを目指しています。当社の主な目標は、プレイヤーに所属感、個人の成長の機会、そして協力的な仮想世界内で想像力豊かなアイデアを実現するための革新的なツールを提供するコミュニティを育むことです。社会的な交流と創造性の重要性を強調することで、Pahdo Labsは、エンターテイメントだけでなく、共有された世界に意義ある影響を与える力を持つプレイヤーを育成する没入型のゲーム体験を創造することを目指しています。活気ある魅力的なゲームエコシステムの構築に取り組むことで、Pahdo Labsはプレイヤーがつながり、自己表現し、ゲームの喜びを体験する方法を革新しようと努力しています。
Club3
日付: 09月13日
調達額: $3.00M
ラウンド: Seed
投資家: BitcoinCashなど
カテゴリー: Web3
プロジェクト概要: Club3は、Web3コミュニティ向けに特別に設計された革新的なオンラインプラットフォームです。その主な目的は、トークン化されたビジネス戦略の開発と高い関与度を持つコミュニティの育成をブランドを支援することです。ブロックチェーン技術の力を活用することで、Club3はブランドの可視性を向上させ、新しいユーザーを引き付け、強力なコミュニティの忠誠心と影響力を育成するための機能を提供します。
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今週のオンチェーン指標:Purpose Bitcoin ETF Holdings
概要
Purpose Bitcoin ETF Holdings(以下PBEと略す)とは、カナダを拠点とする資産運用会社Purpose Investments Inc.が提供する世界初のBitcoin 現物ETFが裏付け資産として保有するBTCの数と定義されます。
この指標は、Purpose Investments Inc.が提供する情報をもとに作成され、機関投資家等によるビットコイン投資への関心度を示すものとして注目されています。PBEの上昇はETFの買い、すなわち投資家の参入を表し、逆にPBEの下落はETFの売り、すなわち投資家の撤退を表します。
以下の図は、PBEとビットコインの価格を表示したものです。2021年2月にPurpose Investments Inc.がPBEの提供を開始してからは順調に右肩上がりのトレンドを形成しています。2022年初めにかけてもPBEは上昇し、下落相場の中でもしばらくはビットコイン投資の関心が継続していたことが伺えます。
しかし、2022年5月のTerra/LUNAの崩壊によって市場は混乱し、PBEも大幅に減少していることが確認できます。その後はほとんど横ばいで推移しています。
今後は米国においてもブラックロックをはじめ資産運用会社がビットコインの現物ETFを提供する可能性があります。そうなればPurpose Investments Inc.のETFを遥かに上回る額がビットコインに流れることが予想され、それらの裏付け資産の推移はPBEと同様にマーケット指標として注目されるでしょう。
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