#62:WorldcoinのWLDトークンが抱えるリスクとは?

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

WorldcoinのWLDトークンが抱えるリスクとは?

コメント:宮本

Worldcoinが7月24日にリリースしたWLDトークンが、上場後約1か月で59%下落するなど苦境に立たされています。

WorldcoinはOpenAIの共同創業者であるサム・アルトマンが立ち上げた暗号資産プロジェクトです。プロジェクトの目的は主に2つあり、1つ目はデジタル上でAIと人間の区別を行えるようにするために人間に対して独自のIDを発行すること、2つ目はこのIDを持つすべての人々に暗号資産を配布することです。

独自のIDは「World ID」と呼ばれており、虹彩認証ハードウェア「Orb」を用いて虹彩認証を行うことで発行されます。また、プロジェクトにおける暗号資産としてWLDトークンがEthereumとEthereumのレイヤー2であるOptimism上に用意されており、World IDの発行と同時に25WLDがもらえる仕組みになっています。

しかし、WLDトークンの価格はリリース直後である 7月24日に$2.72を記録した後に下落傾向が続き、9月1日時点では-59%となる$1.11となっています。

WLDトークンの価格が下落した主な要因として、虹彩という生体認証データを利用していることによる規制リスクが挙げられます。

Worldcoinの大きな需要が見込まれていたケニアでは、8月2日にプライバシーへのリスクからWorldcoinのケニア国内における活動を停止すると 政府が発表しました。また、ドイツではバイエルン州監督機関が2022年11月よりWorldcoinの調査を実施しているとする 報道があるなど、ヨーロッパにおいても規制当局が警戒を強めています。アルゼンチンにおいても、8月8日にWorldcoinの調査を開始したと 政府機関が発表しました。

このように各国の規制当局はWorldcoinのセキュリティリスクを警戒しており、今後規制が広がる可能性も考えられます。

規制リスクの他にも、WLDトークンは将来的なトークン価値の希薄化というリスクも抱えています。トークンは一部が未発行であったり、ロックされていたりすることが多いため、クリプトの世界では単純な時価総額の他にFDMC(Fully Diluted Market Cap:完全希薄化後時価総額)という指標が合わせて用いられることがあります。FDMCは、未発行であったりロックされているトークンがすべて市場に出回った際の時価総額を表したものであり、FDV(Fully Diluted Valuation)と呼ばれることもあります。

WLDトークンの9月1日時点におけるFDMCは$11,004,743,412となっており、時価総額の$141,227,242と比較すると約78倍となっています。FDMCと時価総額が大きく乖離しているトークンの特徴として、将来的に大量のトークンが市場に流通することによってトークン価値が希薄化することが挙げられます。トークン価値の希薄化を防ぐためには資金を調達した上でエコシステムの成長に使用し、プロジェクト自体の価値を高める必要がありますが、WorldcoinのFDMCは膨大であるためかなりの資金調達コストがかかることが予想されます。

Worldcoinは規制リスクや希薄化リスクを乗り越えることができるのか、今後の展開に期待したいところです。

印モディ首相、G20サミットで暗号資産の世界的な枠組みの構築を呼びかけ

コメント:中坪

インドのモディ首相はG20のサミットの中で参加国に対し、暗号資産規制策定に向けたグローバルな協力を求めました。今年のG20議長国として昨今その必要性が叫ばれている暗号資産関連の法整備を国際的に進めていく姿勢を示した形になります。モディ首相は航空業界を例に取り、空での交通管制やセキュリティを管理する共通ルールや規制が国を跨いで構築されているように、暗号資産のような近年台頭してきているテクノロジーに対しても国際的に規制されるべきとし、インドがG20議長国として暗号資産の議論が、金融の安定という側面を超えて新興市場や発展途上の経済圏に与えるマクロ経済の観点での影響にまで広がっていくように、暗号資産に対する知見を深めていきたいと語っています。

このニュースのポイントは世界での暗号資産法整備の温度差が拡大している点です。一部報道によれば、インドはG20の議長国という国際社会への発信力が高い今、暗号資産ルールの策定に関するアピールを世界に先駆けて行う狙いがあるのではないかとされています。この背後にあると見られるのがアメリカでのクリプト関連企業と規制当局の争いです。今年に入り、SECはバイナンスやコインベースといった大手暗号資産取引所に対し、証券法違反で訴えを起こしました。また以前から法廷での争いが続いていたRipple社との裁判に関しても今年6月に進展があったことも、SECとクリプトの関係性に注目が集まるきっかけとなりました。米国では暗号資産規制をめぐって官民、さらには議会での争いが続いており今後の法整備の先行きが不透明な状態です。この中にあって、各企業は米国でのサービスを終了したり、米ドル建て以外のステーブルコインの発行を検討することを示唆したりなど、米国から世界へ暗号資産市場のメインステージを移す動きが起き始めています。この状況で世界に対し暗号資産法整備の透明性を示すことができれば、クリプトを始めとするweb3関連の企業や投資はその国に集まることが予想されます。実際、このような動機から日本でも暗号資産税制の改正が行われるなど、各国が次の時代の覇権をめぐって争いを加速させています。

暗号資産はその性質上、一国単体での法整備が持つ効力が弱く、簡単に法の網を掻い潜られてしまいます。ですので世界が一丸となって共通ルールを策定することは暗号資産を安全安心に利用するために必須となるでしょう。その一方で各国の思惑が交差し、自国の利益を優先してしまえば、統一的な規制を構築するのはそう簡単なことではないでしょう。果たしてG20をはじめとする国際的な枠組みがグローバルな暗号資産法規制を前に進められるのか、注目したいと思います。

注目の資金調達(8/28~9/3)

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。(モデル改修のため一時休止中)

マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Daily GBTC Premium/Discount to NAV

=(GBTC価格ーBTC価格)/BTC価格

概要

今回は、オンチェーン指標ではありませんが、米国で話題の暗号資産投資信託会社Grayscaleが提供するビットコイン投資信託GBTCに関連した指標「Daily GBTC Premium or Discount to NAV(以下GB/Bと略す)」について紹介します。

GB/Bとは、GBTCと現物ビットコインの価格差を現物ビットコインの価格で割ったものに100をかけたものと定義されます。つまり、GBTCが原資産となる現物ビットコインに対してどれだけ価格が高いか低いかを%で表します。

GB/Bがプラスの時は、GBTCの価値が現物ビットコインに対してプレミアムがついている状態であると判断できます。逆にGB/Bがマイナスの時は、GBTCの価値が現物ビットコインよりも割り引かれていると判断できます。

下の図は、GB/Bを表示したものです。GB/Bは2020年頃まではプラス圏で推移し、GBTCは現物ビットコイン以上の価値を持っていたことが読み取れます。これは機関投資家層を中心に現物ビットコインを直接保有できない投資家が、ビットコインへのエクスポージャーを求めて殺到したためです。しかし、2021年以降はビットコインに関連したファンドやETF商品などGBTC以外にもビットコインへ間接的に投資できる環境整備が進みました。それによってGB/Bはマイナスに転じ、2022年の冬相場ではGrayscaleの親会社であるDigital Currency Groupの経営状況悪化への懸念もあって一時マイナス50%近くまで低下しました。

GBTCのプレミアムが低下した背景の一つに、GBTCが償還期限前の払い戻しや中途解約ができないクローズド・エンド型であるという問題があります。Grayscaleはこの問題を解消するべく米SECに対してGBTCをETFに転換する申請を行っています。先月にその再審査をSECに求める裁判でGrayscaleの主張が認められました。直近でもGB/Bはマイナス20%付近で推移していますが、今後のETFの期待によりディスカウントが解消されることが期待されます。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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