#42: BadgerDAO:ETHを担保にしたBTC?

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

Polygon zkEVMのメインネットベータ版がリリース

コメント:宮本

Polygon Labsが3月27日に「Polygon zkEVM」のメインネットベータ版をリリースしたことを発表しました。

Polygon zkEVMはzk-Rollupを用いたレイヤー2で、イーサリアムと比較してより高速で安価なトランザクションを可能にするものです。また、EVM(Ethereum Virtual Machine)互換性も確保されているため、イーサリアム上にある既存のスマートコントラクトウォレットの大部分はPolygon zkEVMでも動作します。

zk-Rollupはゼロ知識証明の一種であるzk-SNARKsを用いたロールアップ技術で、複数のトランザクションをオフチェーンで処理し、それらをまとめてレイヤー1に含めることでスケーラビリティを向上させることができるものです。

イーサリアムのスケーラビリティソリューションとしては、zk-Rollup以外にもOptimistic Rollupを用いたレイヤー2であるOptimismやArbitrumなどが存在します。zk-RollupはOptimistic Rollupよりも高いスケーラビリティとセキュリティを備えているという特徴がある一方で、zk-SNARKsを利用することで技術的に複雑になるためにEVM互換性を持たせにくいという課題がありました。

今回リリースされたPolygon zkEVMは、zk-Rollupを用いていながらEVM互換性を確保したzkEVMと呼ばれるものになります。zkEVMは従来のレイヤー2よりも高いスケーラビリティとセキュリティを実現した上で、EVMの互換性を確保した理想的なレイヤー2であると考えることができます。

Polygon zkEVM以外にメインネットのリリースを決定しているzkEVMの例としては、Matter Labsが開発するzkSync Eraが挙げられます。zkSync Eraは以前のメルマガで紹介したイーサリアムの新機能であるAccountAbstractionをネイティブサポートしているといった特徴を持ったzkEVMで、3月24日にアルファ版が公開されています。ただし、zkSync EraはPolygon zkEVMとは異なりバイトコード互換性がないため、別途LLVMベースのコンパイラを使用してコンパイルを行う必要があります。Polygon zkEVMはバイトコード互換性を確保しているため、既存のスマートコントラクトを流用しやすいという後方互換性においてより優れたzkEVMであるといえるでしょう。

Polygonはゲーム向けブロックチェーンを提供するImmutableと提携を結ぶことも発表しています。また、Polygon zkEVMにはEtherscanやPhantomなどの50以上のプロジェクトが参加することも表明しています。最も先進的なスケーラビリティソリューションとして、DeFiやブロックチェーンゲームに至るまで幅広い利活用が期待されます。

グラスノードでバックテストが可能に

コメント:宗田

ブロックチェーン分析会社のグラスノードはダッシュボード内で取引のバックテストを可能にしたと発表しまた。バックテストとは過去の一定期間での投資シミュレーションのことで、あるタイミングで売買するという取引戦略を指定してパフォーマンス等を評価することができます。

グラスノードのバックテストツールでは、エクセルのような関数を使うことでただ資産の増減を調べるだけでなく、平均リターンやボラティリティ、シャープレシオなども表示することができます。さらにビットコインとイーサリアムで半々のポートフォリオなども関数によって設定することが可能です。

このバックテストツールを使うメリットとしてはやはりプログラミングなしに簡単な構文で取引を検証できる点が大きいと感じます。暗号資産を取引する人には非エンジニアも多くおり、そのような方々にとっては仮にオンチェーン指標をトレーディングに使いたくても有効なのかどうなのかを確かめる方法があまりありませんでした。グラスノードのような多くのオンチェーン指標を提供しているプラットフォーム内で、バックテストまで一貫して行うことができるのは投資初心者から上級者まで幅広く使いやすいものとなっています。

一方、バックテストで検証した取引戦略が実際のパフォーマンスを保証するものではないことには注意が必要です。過去のリターンを最適化する形でパラメータを調整するとかえって一般的な取引戦略として有効にならない可能性があります。この問題を「オーバーフィッティング」といいます。

また、バックテストできるものはグラスノードがデータを提供している暗号資産やオンチェーン指標に限られます。今後さらに対応銘柄が増えることでより効果的な投資シュミレーション、ポートフォリオ検証ができるようになるでしょう。

DeFiの今とこれから~数字で見るDeFi~

コメント:中坪

先週に引き続きMessariから公表されているレポートより、DeFiの現状と今後の展望をまとめます。今週は数字から見るDeFiと題して、DeFiにまつわる数字から今人気のセクターと今後注目のDeFiプロトコルをご紹介します。

全セクターを通してTVLは伸びていますが、その中でもリキッドステーキングが最も大きなTVLとなっています。これはステーキングしたイーサリアムを引き出せるようになるイーサリアムの上海アップデートが近づいていることも大きく影響しているようです。また14日間TVL平均変化率を見ても、リキッドステーキングはこの半年間、他のセクターと比べて高い上昇率を維持しており、今一番伸びているセクターだと言えるでしょう。

次に注目したいのがデリバティブです。TVLの額ではまだまだ他のセクターには及びませんが、TVLの平均変化率を見ると著しく高いわけではないものの安定した伸びを見せています。デリバティブに関しては先週大きなニュースがありました。仕組み債をブロックチェーン上に作成した世界初のプロトコル“Cega”の運営会社が追加資金調達を完了し、シードラウンドでの累計調達額が約13億円となりました。Cegaは仕組み債の分野で、全てのブロックチェーンで取引量とTVLが2位という、仕組み債のトップランナーとなっています。実はこの企業、日本人が創業し、CEOを務めているという日本のDeFiを牽引する存在でもあります。足元ではデリバティブのTVL総額は伸び悩んでいますが、このような日本発DeFiベンチャーの勢いがこれから大きなうねりを産みだすことに期待したいです。

最後にAPY(年換算利率)を見ていきたいと思います。全DeFiプールのAPYの中央値は昨年末から今年初めにかけて2%前後を推移していましたが、三月初旬には5%とほぼ2倍の数字に達しています。特にイーサリアムのL2エコシステムであるOptimismが群を抜いて高いAPYを誇っており、DeFi全体の高いAPYをリードしています。3月19日の時点でOptimismのAPYの中央値は約12%でしたが、それに続くArbitrumやSolanaは4%未満と2位以下とは3倍もの差を空けています。高いリターンのプロトコルに資金は流れ込む傾向があるため、APYは短期的に見てどのプロトコルがTVLを継続的に成長させていくかを見極める良い指標となりえます。直近ではOptimismへの期待度が大きいと言えそうです。

二週にわたってDeFiの現状と今後について考えてきました。期待できる点が多い一方で、参加するには金融とブロックチェーン両方の知識が不可欠です。また、金融安定理事会(FSB)は今年2月、規制を整備していく方針を示すなど、DeFiに関しても法規制が大きく影響しそうな一年となることが見込まれます。まだまだ不安な点も多いDeFiですが、資産運用や金融包摂、そして中央集権型金融への不信感といった多くの問題への解決策となる可能性も秘めています。今こそDeFiを知る良い機会なのではないでしょうか。

注目の資金調達

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Ledger

概要:ハードウェアウォレット開発
調達額:1億800万ドル
ラウンド:シリーズC(追加)
主な出資者:True Global Ventures、Digital Finance Group、VaynerFund
暗号資産のハードウェアウォレットを製造している。USB形式で持ち運び可能。暗号資産をオフラインで管理しながら、適宜オンラインに繋いで専用アプリから取引することができる。

EigenLayer

概要:ETHリステーキングプロトコル
調達額:5000万ドル
ラウンド:シリーズA
主な出資者:Blockchain Capital、Coinbase Ventures、Polychain Capital
ETHのステーキング分を他のDappsに再ステーキングできるようにするプロトコル。これによりユーザーはレバレッジをかけて取引することができ、Dapps開発者はセキュリティをEthereumに依拠することができる。現在はローンチ前。

Fetch.ai

概要:AIサービスの開発プラットフォーム
調達額:4000万ドル
ラウンド:エクイティ&トークンセール
主な出資者:DWF Labs
AIサービスを構築できる開発プラットフォーム。AIモデルにデータをフィードする基盤としてブロックチェーンを活用し、オープンで追跡可能なAI開発インフラとして機能する。またそれらを活用したDappsを開発するための各種ツールやフレームワークを提供する予定で、エコシステム内で流通するFETトークンを発行している。

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マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

注目のWeb3関連サービス

BadgerDAO:ETHを担保にしたBTC?

Badger DAOとは?

Badger DAOはDeFiに$BTCを持ち込むことにフォーカスする2020年にスタートしたDAOで、EthereumやArbitrumなどの非ビットコインネイティブなチェーン上で$BTCに特化したDeFiアプリケーションを開発・運営しています。

Compoundなどがリードしたイールドファーミングブームの頃に利子付き$BTC担保トークンの$ibBTC(Interest Bearing Bitcoin)をローンチしています。

$ibBTCは、同じく$BTC担保のトークン($WBTCなど)とペアで構成された流動性プールに多く採用され(理由は後述)、Badger DAO全体のTVLは一時約23億ドルにまで達し、その後もいくつかのプロダクトを通じて堅調なTVLを維持してきました。しかし、2021年の12月に当時流行していたフロントエンド攻撃によるトークンの流出を許して以降、じわじわとTVLは下がり続けており、$ibBTCが間接的に利用していたrenVMというプロトコルのv1.0ネットワークが閉鎖したこともあって、現在は5,000万ドルを下回っています。

そんなややもすれば下火と言われそうなBadger DAOを今回取り上げるのは、彼らが「$ETHを担保にEthereum上でも使える$BTCを発行する」という非常に興味深いアイディアの実現に現在進行系で取り組んでいるためです。

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今週のオンチェーン指標:MVRV Z-Score

=(BTC時価総額-BTC実現時価総額) /BTC時価総額の標準偏差

概要

MVRV Z-Scoreとは、ビットコインの時価総額と実現時価総額の差分を、同時価総額の標準偏差で割ったものと定義します。実現時価総額とはビットコインがオンチェーン上で最後に移動した時点での評価額で算出した時価総額を指し、短期的な市場センチメントによる影響を除いた指標として有効とされています。

この指標はビットコインの市場価値が実現価値に対して過大/過小評価されている時期を判断するために使用されます。市場価値が実現価値より大幅に高い場合、歴史的にMVRV Z-Scoreは7.0以上の水準(レッドゾーン)で価格のピークと重なり、その逆は0.1以下の水準(グリーンゾーン)で価格の底と重なってきました。

昨年のFTXショック後にMVRV Z-Scoreはマイナス圏まで低下し、ビットコイン価格の底打ちを示唆しています。直近では価格が上昇する中でグリーンゾーンを上抜けて推移しています。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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レポート例

  • 「GameFiとはなにか――DeFiの重要性と課題、CEXの役割」
  • 「VR普及はいつ頃達成されるのか?―現状の問題点と関連技術を探る」
  • メタバースのデジタルLANDを開発する方法ーDecentraland開発」
  • 「ブロックチェーンゲームのビジネスモデルと収益推定」
  • 「PAVA指標のレイヤー1トークンへの適用可能性の検討」
  • 「金融バブルを検知するLPPLSモデルの暗号資産への応用」

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