#63:マイナンバーカードがウォレットになる「マイナウォレット」、Ethereum Foundationに採択

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

マイナンバーカードがウォレットになる「マイナウォレット」、Ethereum Foundationに採択

コメント:宮本

Ethereum Foundationは9月6日、Account Abstraction(AA)を用いた研究開発を対象とした助成金制度「Account Abstraction Grants」の採択者を発表しました。

Account Abstraction(AA)は、Ethereumにおける外部所有アカウント(EOA:Externally Owned Accounts)とコントラクトアカウント(CA:Contract Accounts)の区分を抽象化する新しい技術のことです。AAの詳細については過去に配信したWEB3ニュースレター#38および#48に記載されていますので、ぜひそちらもご覧ください。

Account Abstraction GrantsはAAの普及を目的としたもので、Ethereum Foundationが展開する助成金支援プログラム「Ecosystem Support Program」の一環として行われたものです。2023年2月27日から4週間にわたり公募が行われ、採択されたプロジェクトには最大5万ドルの助成金を支給することが明記されていました。

今回採択者として18のプロジェクトが発表されましたが、中でも注目度が高いのはマイナンバーカードを利用したデジタルウォレット「マイナウォレット」でしょう。

マイナウォレットでは、マイナンバーカードをタッチすることでウォレットを生成したり、トークンやNFTなどの送受信を行ったり、ウォレット内のトークンやNFTの所有確認および認証を行うことが可能であると説明されています。また、トークンやNFTを送信する際にはPINの入力が必要であることも発表されています。

このプロジェクトにおいて、AAは使用可能な署名アルゴリズムの拡張に用いられていると推測されます。Ethereumは署名アルゴリズムとしてECDSAを採用しているため、署名アルゴリズムとしてRSAを採用しているマイナンバーカードを活用することは従来においては難しい仕様となっていました。しかしAAが登場したことによって、ECDSAではない任意のアルゴリズムを用いて署名を行うことが可能になりました。マイナウォレットはAAを活用することで、マイナンバーカード内部に格納されたRSA公開鍵・秘密鍵を用いた署名を実現していると考えられます。AAを用いることで、マイナンバーカードをハードウェアウォレット化するプロジェクトであると捉えるとわかりやすいかもしれません。

マイナウォレットの他にも、WebAuthnを用いたウォレットの多要素認証を提供するプロジェクトや、電子メールを用いたウォレットのリカバリー手段を提供するプロジェクトなどがあわせて採択者として発表されています。

AAは新技術としては以前から注目されていたものの、実際にAAを用いたプロジェクトは現時点ではあまり登場していません。こうした助成金制度によって、今後革新的なプロジェクトがリリースされることを期待したいところです。

Coinbase、機関投資家向けレンディングサービスの提供を計画

コメント:中坪

Coinbaseが機関投資家向けの新しい暗号資産レンディングサービスを立ち上げたと米暗号資産関連メディアCoinDeskが報じています。9月1日に同社はSECにFormDと呼ばれる書類を提出。 申請書によればすでにこのサービスで5700万ドルもの資金を集めており、すでに水面下で計画がかなり進められていることがわかっています。このサービスを利用することで顧客はCoinbaseに対して暗号資産を中心とした資金を貸し出し、その見返りに貸出額を超過する担保を得ることになります。Coinbaseは受け取った資金をトレーディングを専門とした機関投資家にローンとして融通し利益を上げるというスキームです。関係者によればこれは伝統金融におけるプライムブローカレッジサービスに類似したサービスになるとみられており、Coinbaseが機関投資家に代わってレンディングのリスク管理と効率的な取引実行を支援する形になります。

そもそもCoinbaseは2021年に個人向けにレンディングサービスの提供を計画していましたが、SECによってサービスが有価証券にみなされるという横槍が入り計画は頓挫してしまったという苦い過去があります。別途DeFiレンディングサービスの提供を始めましたが、米国はサービス対象外となっています。同様のサービスを提供していたBlockFiもSECに未登録証券の販売を指摘され罰金を課せられるなど、レンディングサービスにも当局からの圧力がかかっています。FTXショックなども相まってBlockFiやGenesisといったレンディングサービスプロバイダーは次々と破産申請を行うこととなり、結果的に米国ではこの分野に置いて現在空白ができている状態です。ここに再び名乗りを上げたのがCoinbaseです。暗号資産の証券性をはじめとしてSECとの衝突が絶えないCoinbase側は先手を打って、証券登録義務の免除規定であるRegulation DのRule506(c)の適用を申請し、SECからの追及を交わす狙いがあります。また、機関投資家にターゲットを絞ったというのも前回の反省からのものでしょう。これによりさらにForm DがSECによって通される確率が上がると見られます。

さらに過剰担保型のレンディングサービスにしたところもポイントです。度重なる暗号資産業界での不祥事、特にFTXでの事件は業界の資産管理に対する認識を一変させました。現在、多くのステーブルコインは裏付け資産の過剰担保を行っているなど、投資家保護の動きが加速する中でCoinbaseも過去の失敗から得た学びを活かしたサービス設計を行ったと考えられます。

SECとの対立と業界の反省から多くの知見を得たCoinbaseが練り上げた新しいレンディングサービス。機関投資家が暗号資産業界へのますます参入することが予見される中で、今後の展開に大いに期待したいと思います。

注目の資金調達(9/4~9/10)

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Kotani

日付: 09月05日
調達額: $2.00M
ラウンド: Pre-Seed
投資家: P1 Venturesなど
カテゴリー: Others
プロジェクト概要: Kotani Payは、ブロックチェーンプロトコル、分散型アプリ(dapps)、およびブロックチェーンベースのフィンテック企業をアフリカの地元の支払いチャネルと統合するために設計された包括的なテクノロジーソリューションです。このテクノロジースタックを活用することで、ブロックチェーン領域で活動する企業は、アフリカ市場の既存の支払いインフラとシームレスに接続することができます。 Kotani Payの主な目的は、ブロックチェーン技術とアフリカの伝統的な支払いシステムのギャップを埋めることです。この統合により、企業は馴染みのある地元の支払いチャネルを通じて製品やサービスを提供することで、アフリカ市場の広大なポテンシャルにアクセスすることができます。 Kotani Payを使用することで、ブロックチェーンプロトコル、dapps、およびフィンテック企業は、国境を越えた取引、通貨の変換、およびアフリカでの銀行サービスへの制限といった課題を克服することができます。地元の支払いチャネルとの統合により、これらの企業はアフリカのユーザーにシームレスで使いやすい支払い体験を提供します。

Antmons

日付: 09月05日
調達額: $1.80M
ラウンド: Undisclosed
投資家: Oakt Venturesなど
カテゴリー: Web3NFTs
プロジェクト概要: アントモンズエンターテイメントは、最先端のメタNFTおよびプレイ・トゥ・アーンゲームFiプラットフォームです。同社の目標は、MOBA、カード戦略、車の銃撃戦など、さまざまなゲームモードを特徴とする、ゲーマーのための刺激的な戦場を創造することです。常に進化し続けるコンテンツシステムを提供することに重点を置き、アントモンズはプレイヤーや開発者のためのアクセス可能で信頼性のある環境になることを目指しています。ゲームの興奮と報酬の可能性を組み合わせることで、アントモンズエンターテイメントはゲーム業界を革新しようとしています。持続可能性とシンプルさに対する取り組みを通じて、アントモンズはプレイヤーを魅了し、すべての関係者に持続可能なエコシステムを提供する没入型のゲーム体験を創造することを目指しています。

ReadON

日付: 09月05日
調達額: —
ラウンド: Undisclosed
投資家: Skyland Venturesなど
カテゴリー: NFTsWeb3
プロジェクト概要: ReadONは、消費者、キュレーター、クリエイター向けの報酬システムを開発したコンテンツ配信のための分散型プラットフォームです。また、独自のトピックに基づいたNFTデザインも特徴です。ReadONの目標は、ユーザーが効率的かつ自由に高品質なコンテンツにアクセスできるようにすることであり、情報の壁を取り払い、真に新しい世界の探索を促進することです。 2022年4月のSolana Riptide Global Hackathonで、ReadONはコミュニティチョイスアワードの唯一の受賞者として脚光を浴び、その優れたポテンシャルとコミュニティからの認識が示されました。進捗の証として、ReadONは9月にモバイルアプリのパブリックベータ版をリリースする予定であり、ユーザーはプラットフォームを直接体験することができます。 分散化を活用し、参加を促進することで、ReadONはコンテンツ配信を革新し、ユーザーが多様で価値あるコンテンツを発見し、参加することを可能にすることを目指しています。モバイルアプリのリリースにより、ReadONはコンテンツの消費と探索の領域で大きな影響を与えることが期待されています。

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担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Marketcap/TVL

概要

Marketcap/TVL(以下、M/Tと略す)は、時価総額をTVLで割ったものと定義されます。Marketcapは1コインの価格に発行量をかけたもので、TVLはチェーンやプロトコルにロックされている資産の合計価値を表します。

M/Tは実際に活用されている資産価値を表すTVLに対して、時価総額が過剰に評価されているかどうか判断できます。ただし、TVL以外に価値があるチェーンやプロトコルの場合、それをM/Tが捉えることができない点を注意する必要があります。

図1は、TVLが上位のチェーンのM/Tを表示したものです。これを見るとBSCとEthereumが高く、Tronが小さくなっていることが分かります。EthereumやBSCは、チェーン上の需要以外にも従来の証券的な取引目的で保有されている部分が大きいので、M/Tが高くなっていると考えられます。一方でTronは、時価総額ではBSCのおよそ5分の1でありながらTVLではEthereumに次ぐ規模であり、大部分がDeFiを中心としたチェーン上の需要となっていると考えられます。他にレイヤー2のM/Tに注目するとPolygon、Optimism、そしてArbitrumの順となっています。基準となる値は定かではありませんが、同じレイヤー2の中でもArbitrumはPolygonに対して過小評価されていると捉えることができるかもしれません。

図2は、TVLが上位のプロトコルのM/Tを表示したものです。図1と合わせるとチェーン、レイヤー2、プロトコルの順にM/Tが大きくなっていることが分かります。全体的に見るとLido、MakerDAO、AAVE、Curve FinanceのM/Tは0.1~0.2とかなり近い評価となっている一方で、Uniswapがダントツの0.99となっています。これは取引所とレンディング、ステーキングなどのプロトコルの性質の違いも影響しているでしょうが、見方によって一方を過大評価あるいは過小評価と判断することができるかもしれません。

このようにM/Tは、チェーン、レイヤー2、プロトコルのそれぞれで適切な水準を割り出す必要がありますが、株式におけるPERやPBRのように指標の値を比べることで割安割高の判断に活用できる可能性があります。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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