今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米政府閉鎖を契機に無国籍資産としての評価が広がり、利下げ期待にも支えられて史上最高値を更新した。
- 来週のビットコインは、米国の政治リスクと経済指標の空白を背景に、期待先行の上昇基調を維持する展開が予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=128,000ドル(約1,920万円)、下値はBTC=120,000ドル(約1,800万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米政府閉鎖を契機に急騰し史上最高値を更新
ビットコインは、米政府閉鎖を契機に無国籍資産としての評価が広がり、利下げ期待にも支えられて史上最高値を更新した。
米国議会での交渉が難航し政府閉鎖が続くなか、市場では不透明感が強まり、安全資産とされる金が連日で史上最高値を更新。相対的に出遅れていたビットコインも「デジタルゴールド」として特性が再評価され、買いが強まった。
さらに、主要な米経済指標の発表延期で材料難となる一方、根強い利下げ期待を背景に米国株が上値追いを続け、日本株も高市新総裁への期待から高値を更新した。リスク資産への強い買いが入る中、ビットコインETFにも連日で数億ドル規模の資金が流入し、BTC=125,000ドル(約1,875万円)を突破しておよそ2カ月ぶりに史上最高値を更新した。
その後は利益確定売りが入り上昇は一服したものの、金や株式の堅調推移に加え、バイナンスコイン(BNB)がミームコインの盛り上がりで強い値動きとなったこともあり、高値圏を維持した。
今週のトピックス
金融市場
- 米ISM非製造業指数、9月は50に低下-事業活動コロナ以来の縮小圏
- 金スポット価格が初の4000ドル突破、米政府閉鎖や景気懸念で上昇加速
- 円は対ドルで8カ月ぶり安値、高市氏政策にらみ売り-毎勤統計も重し
- 日経平均の年末目標引き上げ相次ぐ、「サナエノミクス」期待で強気
- イスラエルとハマス、ガザ和平交渉「第1段階」で合意-全人質解放へ
- 米政府閉鎖2週目、IRSが職員半数を一時帰休-納税者向けサービス制限
- FOMC議事要旨、年内追加利下げに慎重姿勢-過半数がインフレ懸念
暗号資産市場
- グレースケール、米国初のステーキング機能付き現物仮想通貨ETFを開始
- トム・リー率いるビットマイン、1234億円相当のイーサリアム追加購入
- クオンタムソリューションズ、20カ月ぶり高値 イーサリアム財務戦略を拡大
- 米金融大手BNYメロン、トークン化預金を検討=報道
- 米SEC、仮想通貨企業向け「イノベーション免除」制度を年内にも正式化へ
- 予測大手ポリマーケット、Bakktの親会社ICEから3000億円の戦略的出資を獲得
- 米S&P、仮想通貨と関連株を組み合わせた新指数を立ち上げ
- 仮想通貨大手ジェミニ・スペース、IPO価格割れ続く-収益改善が課題
- IG証券、ビットコインETF・イーサリアムETFのCFD取引を提供開始
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は米政府閉鎖と利下げ期待を追い風に高値圏を維持か
来週のビットコインは、米国の政治リスクと経済指標の空白を背景に、期待先行の上昇基調を維持する展開が予想される。
ポジティブ材料としては、まず米国政府の閉鎖が長引き、国の信認低下が意識される中で「無国籍資産」としてのビットコイン買いが強まっている点が挙げられる。金が史上最高値を更新するなか、ビットコインもデジタルゴールドとして資金流入が拡大する可能性がある。
第二に、国内では高市新総裁の誕生を受けて円安が進行しており、円建てでのビットコイン相場にはさらなる上昇余地が見込まれる。
第三に、米国では大手金融機関の決算発表が相次ぐ予定で、今年に入って増加しているデジタル資産市場への参入姿勢について具体的な言及があれば、市場がポジティブに反応することも考えられる。
一方で、FOMC議事要旨では当局者が雇用市場の弱さとインフレリスクに警戒を強めていることが確認された。加えて、政府閉鎖の影響で雇用統計に続きCPIの発表も延期される見通しであり、市場は手掛かりを欠いたまま利下げ期待に依存した相場が続きそうだ。
もっとも、幅広い資産クラスで期待先行の上昇が広がっている分、政府閉鎖が解除された場合、市場はむしろ短期的な利食い売りに押されるリスクが残る。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=128,000ドル(約1,920万円)、下値はBTC=120,000ドル(約1,800万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標・イベント
- 米国、9月雇用統計(未定)
- 米国、9月消費者物価指数(10/15)
- 米国、9月小売売上高(10/16)
- ユーロ圏、9月消費者物価指数<改定値>(10/17)
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