今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米国の利下げ観測や政策期待を背景に、米国株とともに堅調に推移した。
- 来週のビットコインは、米FOMCを最大の焦点とし、利下げペースや政策方針をめぐる思惑で大きく左右される展開が予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=118,000ドル(約1,740万円)、下値はBTC=110,000ドル(約1,622万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米国の利下げ観測や政策期待を背景に堅調推移
ビットコインは、米国の利下げ観測や政策期待を背景に、米国株とともに堅調に推移した。
米雇用統計が前回に続いて弱い結果となり、利下げ期待と景気後退懸念が交錯する中、一時は乱高下する展開となった。さらに、ブロックチェーン関連の主要オープンソースライブラリに脆弱性が発覚したことも投資家心理を悪化させた。
しかし、米国のSECとCFTCが暗号資産関連の共同会議を月末に開催すると発表。加えて、米歳出法案の中で財務省に対しビットコイン準備金に関する報告が義務付けられたこともあり、制度面の進展への期待が高まる中でBTC=110,000ドル(約1,622万円)付近では底堅く推移した。国内でもメタプラネット(3350)やコンヴァノ(6574)による追加購入が継続して発表された。
その後、8月の米生産者物価指数(PPI)がインフレ鈍化を示唆したことで利下げ観測が一段と強まった。これを受け、米国株が連日で史上最高値を更新し、ビットコインも連動して上昇した。さらに、ホワイトハウスのデジタル資産諮問事務局長に就任したパトリック・ウィット氏の「戦略的ビットコイン準備金の創設が最優先課題」との発言も相場を支援し、BTC=114,000ドル(約1,681万円)付近まで価格を伸ばした。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用者数、2.2万人増にとどまる-失業率は2021年以来の高水準
- 石破首相が辞任表明、日米関税交渉に区切りで決断-「後進に道」
- 8月の証券乗っ取り金額は前月比で増加、今年累計6770億円に-金融庁
- トランプ大統領、通商法301条でEU調査も-グーグル制裁「看過せず」
- トランプ関税、米連邦最高裁が迅速審理-「11月第1週」に口頭弁論
- 米雇用者は過去最大の下方修正へ、年91万1000人-年次改定の推計
- 米PPIが予想外に低下、4月以来のマイナス-利下げの論拠強まる
- 米コアCPI、予想通りの上昇-来週のFOMC控え利下げ期待変わらず
暗号資産市場
- 米SECとCFTC、規制統一化へ 月末に共同ラウンドテーブルを開催
- メタプラネット、ビットコイン22億円分を追加購入
- テザー社、ビットコイン売却のウワサ否定 21キャピタルに19,800BTCを送金
- トランプ一族、仮想通貨事業で資産13億ドル増加-わずか数週間で
- 不正コード混入で仮想通貨オンチェーン送金にすり替えリスク、専門家指摘
- ネイルサロン運営コンヴァノ、200億円規模のビットコイン購入を決議
- 米歳出法案、財務省に戦略的ビットコイン準備金の報告を指示
- ナスダック、トークン化株式の取引承認を申請 一年後に米国初の実現目指す
- 米Cboe取引所、ビットコインとイーサリアムの長期型先物を11月から開始予定
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はFOMCを控えて上値重く、利下げシナリオで一段高も
来週のビットコインは、9月16日・17日(現地時間)の米FOMCを最大の焦点とし、利下げペースや政策方針をめぐる思惑で大きく左右される展開が予想される。
週前半は、直近の経済指標を受けた利下げ期待が相場を後押しする一方で、FOMCを控えて様子見姿勢が強まり、上値は重くなりそうだ。
市場では0.25ポイントの利下げが織り込まれているが、政府当局からの圧力もある中でサプライズの大幅利下げとなれば、リスク資産全般が一段高となる可能性がある。さらに、パウエルFRB議長がハト派寄りの姿勢を示せば、年内の追加利下げの思惑が強まり、ビットコインの買いが強まる展開も考えられる。逆に慎重姿勢を崩さなければ、失望売りに押されるだろう。
また、ナスダックがトークン化株式の取引をSECに申請するなど、米国では伝統的な金融機関によるデジタル資産領域への参入が相次いでおり、規制整備の動きと合わせて市場の関心を高める要因となるだろう。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=118,000ドル(約1,740万円)、下値はBTC=110,000ドル(約1,622万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標・イベント
- 米国、8月小売売上高(9/16)
- 米国、FOMC(9/16-17)
- ユーロ圏、8月消費者物価指数<改定値>(9/17)
- 日本、日銀金融政策決定会合(9/18-19)
- 日本、8月全国消費者物価指数(9/19)
※ニュースレターを無料購読していただくと、毎週月曜日の17:00に最新のニュースレターをお届けいたします。