今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、中東リスクと企業買いが交錯し、荒い値動きとなった。
- 来週のビットコインはもみ合い継続を予想する。ステーブルコイン法案と準備金法案が支援材料となるか。直近の価格レンジとして、上値はBTC=109,000ドル(約1,580万円)、下値はBTC=100,000ドル(約1,450万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):中東リスクと企業買いが交錯し荒い値動き
ビットコインは、中東リスクと企業買いが交錯し、荒い値動きとなった。
イスラエルとイランの武力衝突が報じられると、地政学リスクが意識され、リスク回避の動きが加速した結果、ビットコインは一時BTC=103,000ドル(約1,493万円)付近まで急落した。
その後、G7首脳会談を前に、米国と参加国との通商協議進展への期待が高まり、投資家心理が改善したことで買い戻しが強まった。加えて、メタプラネット(3350)やストラテジー【MSTR】などによる企業のビットコイン購入が相次ぎ、BTC=109,000ドル(約1,580万円)付近まで持ち直した。
しかし、G7首脳会議ではトランプ大統領が中東情勢の緊迫化を理由に急遽会議を離脱する事態となり、失望売りが広がった。イスラエル・イラン間の衝突激化も重なり、ビットコインは再びBTC=104,000ドル(約1,508万円)付近まで値を下げた。
週後半のFOMCでは政策金利が据え置かれたものの、年内の利下げ見通しに変化はなく、相場は方向感に欠ける展開となった。
今週のトピックス
金融市場
- イスラエルとイランの衝突、沈静化の兆し見えず-戦争拡大懸念高まる
- 日鉄のUSスチール買収、増資有無が今後焦点-コスパへの懸念も
- トランプ氏がG7切り上げ急きょ帰国へ-テヘランから退避呼び掛け後
- 日米関税「サミット合意」は見送り、首脳会談でも隔たり-継続協議へ
- FOMC、政策金利を据え置き-年内2回の利下げ予想は変わらず
暗号資産市場
- メタプラネットがビットコイン追加購入で保有1万BTC突破、リミックスポイントも1000BTCに到達
- 10週連続でビットコイン追加購入、今回は1520億円相当 ストラテジー社
- ステーブルコインに米小売業者が期待、カード手数料交渉の新切り札
- 6月22日までに知事署名がなければ自動成立か、テキサス州のビットコイン準備金法案
- コインベース、ステーブルコイン決済「Coinbase Payments」開始
- 北米初のXRP現物ETF、3iQとPurpose Investments両社がトロント証券取引所で開始
- ブラックロックの4400億円規模ステーブルコイン、Deribitなどで担保利用可能に
- JPモルガン、コインベースのBaseチェーンで預金トークン「JPMD」発行へ
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はもみ合い継続を予想、ステーブルコイン法案と準備金法案が支援材料か
来週のビットコインはもみ合いの展開を予想する。米国と各国との貿易交渉が難航する中、イスラエル・イラン情勢を巡る地政学リスクが市場の不確実性を一段と高めており、武力衝突が激化した場合にはリスクオフによる売り圧力が波及する可能性がある。一方で、こうした不透明感が強まる局面では、逃避的な買いも入りやすく、下値では一定の底堅さを示すと考えられる。
相場を下支える要因として、企業による継続的なビットコイン購入に加え、米国のステーブルコイン規制法案にも注目が集まっている。トランプ政権は米ドル需要を拡大する重要テーマとして推進しており、大手金融機関や小売業者などが法制化を見据えた導入検討を進めている。暗号資産市場の決済通貨とも言えるステーブルコインが普及することで、市場全体の流動性が向上し、ビットコインへの資金流入を促進することが期待される。
さらに、テキサス州知事の署名待ちとなっているビットコイン準備金法案が成立した場合、公的機関による購入期待により、市場はポジティブに反応する可能性が高い。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=109,000ドル(約1,580万円)、下値はBTC=100,000ドル(約1,450万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標
- 米国、パウエルFRB議長議会証言(6/24-25)
- 米国、1-3月四半期実質国内GDP<確定値>(6/26)
- 米国、5月個人消費支出(6/27)
※ニュースレターを無料購読していただくと、毎週月曜日の17:00に最新のニュースレターをお届けいたします。