#57:SolanaがSolidityに対応、Ethereum開発者がより参入しやすく

今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。

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注目トピックス解説

SolanaがSolidityに対応、Ethereum開発者がより参入しやすく

コメント:宮本

レイヤー1チェーンであるSolanaを開発するSolana Labsは7月19日、新しいコンパイラ「Solang」がリリースされたことを発表しました。
今回発表されたSolangコンパイラは、Ethereumスマートコントラクト開発に用いられるプログラミング言語であるSolidityでSolanaのスマートコントラクトを開発できるようにするものです。

これまで、Solanaのスマートコントラクト開発にはRustというプログラミング言語が用いられていました。Rustは学習コストが高いプログラミング言語として知られており、これがSolanaの開発に参入する障壁のひとつとなっていました。

今回発表されたSolang以前にも、2022年にPythonでSolanaのスマートコントラクト開発を行うことができるSeahorseというフレームワークをリリースしているなど、Solanaとしては対応言語を増やすことによって新たな開発者を受け入れたいという思惑がありそうです。Solidityでの開発が可能となったことで、Ethereumの開発者がSolanaの開発に参入しやすくなることは間違いないでしょう。Ethereum上のプロジェクトをそのままSolanaに移行することも容易になるため、EthereumとSolanaというレイヤー1チェーン間の競争が激化するかもしれません。

また、SolangはPolkadotの開発フレームワークであるSubstrateにも対応しているとしています。これにより、SolanaだけでなくPolkadotの開発もSolidityで行えるようになります。Polkadotの特徴として、リレーチェーンと呼ばれるメインのチェーンにパラチェーンと呼ばれる独自のシステムを持つブロックチェーンを複数接続することができるというネットワークシステムが挙げられます。Polkadotのパラチェーンの例としては、日本発のプロジェクトであるAster Networkなどがあります。Aster NetworkについてはEVM(Ethereum Virtual Machine)に対応しているためSolidityでの開発が以前から可能でしたが、Solangの登場によってEVMに対応していないPolkadotパラチェーンの開発においてもSolidityが利用できるようになることが期待されます。

CBDCフォーラム設置へ~真の意義ある官民協力はできるのか~

コメント:中坪

7月20日、日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験の一環として「CBDCフォーラム」を設置することを発表しました。このフォーラムは民間事業者の持つ技術や知見を実証実験に反映していくことを目的としており、銀行、証券、保険、決済といった金融関係企業や、ソフトウェア、デバイスなどのITインフラを提供する企業を中心に約60社の企業で構成されています。今後、テーマごとにワーキンググループを設置し、より広く深くCBDCについての議論を行なっていくと見られます。

このニュースのポイントはフォーラムの構成企業です。まず暗号資産やブロックチェーン関連企業の参加が極端に少ないということがあげられます。web3の潮流が大きくなっている今、大企業もこの分野における参入を目指して様々な取り組みをしています。しかし、その多くはweb3に特化したスタートアップやすでに専門的なサービスを展開している企業との連携のもとに成り立っており、各企業単体でweb3分野での十分なノウハウがあるとは言えません。実際にブロックチェーンを開発している企業や暗号資産取引所を運営している企業の声は、CBDCを社会実装していく上で非常に重要であり欠かすことができないでしょう。しかし、web3関連企業はほんの数社しかフォーラムには参加していません。

また、このフォーラムに参画している企業の多くが伝統的な大企業やその系列企業であるということも、日銀がフォーラムの設置に際し参加者の多様性を謳っていることと反しているように見受けられます。大企業ばかりで構成されるこのフォーラムで、果たしてweb3業界の実情に即した議論がなされるのか疑問が残ります。

最後に、外国企業の少なさも気になるポイントです。最近、米国連邦地裁でSECとの訴訟の判決が出たことで改めて大きく話題となった、暗号資産XRPを提供するRipple社。Ripple社はXRP訴訟中においても各国の中央銀行、金融当局との連携を進めており、例えば英イングランド銀行と協力し研究開発を行っています。RippleはアジアにおいてはSBIと協力関係にあり、このフォーラムにはSBIグループも参加していますが、Rippleから直接意見を得ることはできません。Ripple社以外にも海外では積極的に政府機関と協力しweb3分野で協力を進めているweb3関連企業が存在しますが、今回のフォーラムには外資系企業の日本法人も参加はしているものの、web3関係企業ではありません。日本円CBDCの技術やスキームがガラパゴス化してしまうことは日銀資料でもトピックとして取り上げられているクロスボーダー決済に悪影響を及ぼすことからも、外国企業の声を直接聞く場は必要ではないでしょうか。

先週はweb3のアジア最大規模カンファレンスWebXが東京国際フォーラムで開かれ、政府関係者も多く参加するなど国をあげてweb3への注目が高まる日本。この分野では決して出遅れることがないように、CBDCの議論においても多様かつ現実的な意見交換体制が求められています。

注目の資金調達

※本まとめはGPT3.5によって自動生成されており、その内容の正確性を保証するものではありません。事例の概要を網羅的に把握するのにお役立てください。

Flashbots

調達額: $60.00M
ラウンド: Series B
投資家: –など
カテゴリー: Infrastructure
プロジェクト概要: Flashbotsは、特にEthereumに重点を置いて、状態を持つブロックチェーンにおけるMaximal Extractable Value(MEV)の悪影響に対処することを目指す組織です。MEVは、収益性の高いオンチェーントレードを利用するためにトランザクションの順序を戦略的に配置する手法を指します。Flashbotsは、Ethereumブロックチェーン上で動作するバリデータにブロックを提案するサービスを提供することで、これらの負の外部性を軽減することを目指しています。このサービスを提供することで、FlashbotsはブロックチェーンエコシステムへのMEVの影響を最小限に抑えることを目指しています。

Aethir

調達額: $9.00M
ラウンド: Pre-Series A
投資家: Sanctor Capitalなど
カテゴリー: Infrastructure
プロジェクト概要: Aethirは、スケーラブルで分散型のクラウドインフラストラクチャ(DCI)の構築に特化しています。彼らの分散型クラウドインフラストラクチャ(DCI)は、主要なクラウドプロバイダによって課される制約からAIおよびゲーム業界を解放するフレームワークとして機能します。Aethirの主な目標は、複雑なクラウドリソースの利用を向上させることです。彼らの専門知識を活用することで、Aethirは従来のクラウドサービスの制約から自由になり、より柔軟で適応性のあるソリューションを提供することを目指しています。彼らのDCIを通じて、AethirはAIおよびゲーム業界の企業に、現在のクラウドの覇権の制約を乗り越え、成長とイノベーションの新たな可能性を開放します。スケーラビリティと分散化に焦点を当てることで、Aethirはクラウドインフラストラクチャの利用方法を革新し、組織が複雑なクラウドリソースのフルポテンシャルを引き出せるよう支援しています。

EthStorage

調達額: $7.00M
ラウンド: Seed
投資家: dao5など
カテゴリー: Infrastructure
プロジェクト概要: EthStorageは、Ethereumのデータ可用性を活用したプログラマブルでダイナミックなストレージを提供するレイヤー2のソリューションです。EthStorageを活用することで、Ethereum上で大量のデータを格納する際の費用を1%から0.1%まで大幅に削減できます。この費用効果の高いストレージソリューションは、将来的に完全に分散化されたネットワークの開発を促進する可能性があります。EthStorageはEVM(Ethereum Virtual Machine)とシームレスに統合され、Solidity、Remix、Hardhat、MetaMaskなどの人気ツールと互換性があります。特筆すべきは、EthStorageのチームがデータ可用性の研究への貢献に対してEthereum Foundationから研究助成金を受けたことです。

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マネックスクリプトバンクでは国内外のweb3関連スタートアップへの出資およびグループ会社を含めた事業連携などを検討しています。ぜひ相談したいという方は下記アドレスまでご連絡ください。

担当:松嶋

今週のオンチェーン指標:Percent Miner Revenue from fees

概要

Percent Miner Revenue from fees(以下、f/MRと略す)はマイナーが受け取る収益(取引手数料+新規発行コイン)のうち取引手数料分の割合を表します。

この指標はマイナーの収益性に関する指標です。ビットコインの場合、半減期による変動を除けば、新たに発行されるコインの量は一定であるのに対し、取引手数料はネットワークの状況によって変動します。そのため取引需要が増えることによって取引手数料が上昇し、f/MRの値も大きくなります。またf/MRの変動が大きいほどマイナーの収益は不安的になると考えられます。

下の図はビットコインの価格とf/MRをプロットしたものです。これを見ると2020年後半から2021年前半にかけて、f/MRが価格高騰とともに大きく変動し、一時25%付近まで上昇していることがわかります。これはビットコインの需要の増加によって取引手数料が上昇し、マイナーの収益性も高まったことを表しています。その後はしばらく1~2%付近で推移していましたが、2023年5月に再び25%付近まで急上昇しました。これはBRC-20規格のトークンとOrdinals Protocolの人気上昇によってビットコインの取引需要が増えたことが影響しています。

※ここで紹介するオンチェーン指標は参考指標にすぎず、資産の売買を推奨するものではありません。投資判断に活用する場合にはご自身の判断でお願いいたします。

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