今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米国の一部州で審議が進むビットコイン準備金法案の動向を背景に乱高下するも、最終的には関税リスクの後退も後押しになり買い優勢の展開となった。
- 来週のビットコインは、10万ドル突破で買い安心感が広がる一方、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性がある。直近の価格レンジとして、上値はBTC=106,000ドル(約1,537万円)、下値はBTC=98,000ドル(約1,421万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米州の準備金法案の可決など好材料相次ぎ10万ドルを突破
ビットコインは、米国の一部州で審議が進むビットコイン準備金法案の動向を背景に乱高下するも、最終的には関税リスクの後退も後押しになり買い優勢の展開となった。
アリゾナ州の知事が州の基金によるビットコイン購入を可能にする法案を拒否したことで、失望売りが強まった。米国株の連騰が一服したこともあり、一時はBTC=94,000ドル(約1,353万円)付近まで下落した。
しかし、ニューハンプシャー州で米州初となるビットコイン準備金法案が可決。さらに、米中通商会議の開催発表も支えとなり、価格は急反発してBTC=97,000ドル(約1,406万円)を回復した。
その後、FOMCでは予想通り金利据え置きが決定され、パウエルFRB議長は利下げに慎重な姿勢を維持したが、イベント通過を受けて市場では安心感が広がった。加えて、アリゾナ州でデジタル資産の未請求資産(※)を保有対象とする法案が成立したことで、州レベルでのビットコイン準備金拡大への期待が高まり、買いの勢いが強まった。
さらに、英米の関税交渉合意が報じられ、BTC=100,000ドル(約1,450万円)を一気に上抜けた。
※Uncalimed Property(未請求資産):長期間使用されていない銀行口座や証券口座、保険金、小切手、預金など、所有者の所在が不明となった資産を指す。各州政府が一時的にこれらの資産を預かり、正当な所有者が現れた場合に返還する仕組みとなっている。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用者数は堅調な伸び、不確実性は採用計画にまだ影響せず
- 米ISM非製造業景況指数、4月は加速-関税でコスト大幅高
- トランプ大統領、中国への関税「いずれは」引き下げる用意あると示唆
- 米財務長官と通商代表、中国当局と貿易交渉開始へ-今週スイスで会談
- 中国、政策金利と預金準備率引き下げ-関税による打撃で景気支援
- FOMCが金利維持、調整急がずとパウエル議長-関税リスク警告
暗号資産市場
- 米アリゾナ州のビットコイン法案、議員は再提出の意向示す
- マイケル・セイラーのストラテジー社、260億円相当のビットコインを追加購入
- 米国初の事例、ニューハンプシャー州が仮想通貨準備金の創設を認可
- アリゾナ州初、仮想通貨準備金法案成立 ニューハンプシャー州に続き
- イーサリアム、マージ以来最大のアップグレードを実装完了
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は10万ドル突破で買いが入りやすいものの、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性
来週のビットコインは、10万ドル突破で買い安心感が広がる一方、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性がある。
ニューハンプシャー州やアリゾナ州での導入事例を受け、他州でも関連法案が次々と可決されれば、ビットコインの買い圧力が一段と強まることが期待される。また、2025年3月に署名された大統領令に基づくビットコイン準備金に関する評価報告書の提出期限を迎えており、近日中に公表された場合、その内容次第で相場がポジティブに反応する展開も想定される。
一方で、米中貿易摩擦を巡る懸念が相場の重しとなる可能性もある。スイスで予定されている米中通商協議で成果が得られなければ、世界的なリスクオフムードが再燃し、ビットコインにも売り圧力が波及する恐れがある。さらに、ロシアによる一方的な3日間の停戦が始まったものの、ウクライナはこれに反発しており、両国間の緊張激化がリスクオフムードを強める可能性もある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=106,000ドル(約1,537万円)、下値はBTC=98,000ドル(約1,421万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標
- 米国、4月消費者物価指数(5/13)
- 米国、4月小売売上高(5/15)
- ユーロ圏、1-3月期四半期域内総生産(5/15)
- 日本、1-3月期四半期実質GDP(5/16)
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