今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米国経済の先行き不透明感や米中貿易摩擦をめぐる懸念が残るも、米国株の続伸を背景に買い優勢の展開となった。
- 来週のビットコインは、FOMCや米中関係の動き次第でさらに上昇する展開が期待される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=100,000ドル(約1,440万円)、下値はBTC=88,000ドル(約1,267万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米国株の続伸を背景に買い優勢の展開
ビットコインは、米国経済の先行き不透明感や米中貿易摩擦をめぐる懸念が残るも、米国株の続伸を背景に買い優勢の展開となった。
トランプ大統領が習近平国家主席との電話会談をアピールし、対中関税の引き下げの可能性を示唆。中国側も対米関税の一部免除を検討していると報じられたことで、米中対立の緩和期待が高まった。これを受け、リスクオフムードが後退し、ビットコインは一時BTC=96,000ドル(約1,382万円)付近まで上昇した。
しかし、中国側が米国との関税交渉の事実を否定したことで米中間の緊張が再燃し、利益確定売りが優勢となった。一方で、米商務長官がインタビューでビットコイン準備金構想に言及したことや、現物ETFへの資金流入が継続したことが相場の下支え要因となった。
その後、2025年第一四半期の米GDPが2022年以来のマイナス成長となり、景気後退懸念が強まった。一方、同日に発表されたPCE価格指数ではインフレ鈍化が確認され、スタグフレーション懸念はやや後退。加えて、大手ハイテク企業の好決算を受けて米国株が8連騰を記録する中、ビットコインにも買いが波及した。
今週のトピックス
金融市場
- トランプ氏、新たな所得減税を示唆-米財務長官は関税交渉進展と強調
- トランプ大統領、パウエル議長批判と関税措置自賛-就任100日で演説
- 米消費者信頼感、約5年ぶり低水準-関税で先行きの悲観強まる
- 米GDP、2022年以来のマイナス成長-関税発動前に輸入急増
- 米PCE価格指数、ほぼ1年ぶりの横ばい-関税前駆け込みで消費強い
- 中国、対トランプ関税で各国に共闘呼びかけ-貿易戦争巡り米国を非難
- 中国製造業活動が23年12月以来の低水準-米関税打撃、刺激策求める声
- 中国人民元、4月はドル以外の通貨に対し下落-輸出競争力押し上げも
暗号資産市場
- 世界初のXRP現物ETF、ブラジルで先行取引開始 米国承認前に実現
- スイス中銀総裁がビットコイン準備金提案に反対表明、国民投票イニシアチブの行方は
- 世界経済の不確実性はビットコインにとって追い風=ブラックロック幹部
- 米FRB、銀行の仮想通貨・ステーブルコイン活動に対する規制緩和を発表
- 米CME初のXRP先物取引、5月19日に提供開始へ ETF承認の根拠に
- ビットコイン採掘の持続可能エネルギー利用率が50%超え、イーロン・マスク氏のBTC購入再開条件を満たしたか
- 1300億円超がブラックロックのビットコインETFに、28日の純流入額が史上2番目の規模に
- 米SECがXRPとドージコインETF判断を延期、第4四半期まで決定先送りの可能性浮上
- 「トランプ大統領がビットコイン準備金に取り組むのは関税問題解決と停戦の後」米商務長官が説明
- UFO伝説の米ロズウェル市、全米初の自治体ビットコイン準備金を設立
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はFOMCや米中関係の動き次第でさらなる上昇に期待
来週のビットコインは、FOMCや米中関係の動き次第でさらに上昇する展開が期待される。
トランプ大統領は就任100日目の演説でパウエルFRB議長を批判し、改めて利下げを求める姿勢を示した。こうした政治的圧力の下で、FRBがFOMCでどのようなスタンスを示すかに市場の関心が集まっている。これまでと同様に利下げに慎重な姿勢が維持されれば、リスク資産全般に売り圧力がかかる可能性がある。一方、ハト派寄りに傾けば、相場全体が上昇する展開も想定される。
また、米中関係の動向も引き続き注目だ。中国国営メディアによると、米国が関税交渉を求めて中国側に接触しているとされ、実際に交渉が進展すれば、米中貿易摩擦の緩和を好感した買いがビットコインにも波及する可能性がある。ただし、今回のように、報道が否定されるような展開となれば、リスク回避の動きが強まる懸念もある。
さらに、暗号資産市場では、米アリゾナ州で審議中のビットコイン準備金法案の行方が注視されている。州議会を通過し、知事の署名待ちという最終段階にあるが、仮に成立すれば州レベルで初の導入事例となり、大量購入の期待によってビットコインが大きく上昇する可能性がある。逆に否決された場合には失望売りが強まるだろう。
加えて、来週はイーサリアムが大型アップデート「Pectra(ペクトラ)」の実装も予定されている。市場の関心を回復するためにも無事にアップデートを完了することが重要になる。一方で、再び延期となれば開発体制の不信感が強まり、ブロックチェーンとしての立場をさらに弱める恐れがあるだろう。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=100,000ドル(約1,440万円)、下値はBTC=88,000ドル(約1,267万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標
- 米国、ISM非製造業景況指数(5/5)
- 米国、FOMC(5/6-7)
企業決算
- 米国、コインベース【COIN】(5/8)
- 米国、マラ・ホールディングス【MARA】(5/8)
アップデート
- イーサリアム、Pectraアップデート(5/7)
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