相場展望:BTC(ビットコイン)は上値の重い展開を予想、トランプ大統領とFRBの対立で不透明感が継続

今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。

  • 今週のビットコインは、トランプ大統領によるパウエルFRB議長の解任懸念により市場が動揺しながらも、BTC=94,000ドル(約1,334万円)付近まで大きく上昇した。
  • 来週のビットコインは、依然として上値の重い展開が続くと予想する。トランプ関税への過度な懸念は後退しているが、米国の金融政策や地政学リスクを巡る不透明感が相場の重しとなりそうだ。直近の価格レンジとして、上値はBTC=95,000ドル(約1,349万円)、下値はBTC=85,000ドル(約1,207万円)を意識する。

今週の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):パウエルFRB議長の解任懸念で動揺するも急上昇

ビットコインは、トランプ大統領によるパウエルFRB議長の解任懸念により市場が動揺しながらも、BTC=94,000ドル(約1,334万円)付近まで大きく上昇した。

トランプ大統領の発言を受けてパウエルFRB議長の解任懸念が強まり、ドル指数が急落。これを受け、金が史上最高値を更新する中、ビットコインも逃避的な買いによって堅調に推移した。マイクロストラテジー【MSTR】やメタプラネット(3350)といった企業によるビットコイン購入も続いた。さらに、SECの新委員長にポール・アトキンス氏が正式に就任し、米国における暗号資産規制整備への期待が高まった。

22日には、トランプ大統領がパウエルFRB議長の解任意図を否定し、VIX指数が急低下する中で、ビットコインはさらに上昇した。ベッセント財務長官が対中緊張緩和に向けて歩み寄りの姿勢を示したことも投資家心理の改善につながり、ビットコイン現物ETFへ9億ドル規模の資金が流入した。

その後は米国でG20財務大臣・中央銀行総裁会議がスタートし、議論の内容を見極めようと様子見ムードが広がった。

今週のトピックス

金融市場

暗号資産市場

来週の相場予想

BTC(ビットコイン)は上値の重い展開を予想、トランプ大統領とFRBの対立で不透明感が継続

来週のビットコインは、依然として上値の重い展開が続くと予想する。

トランプ大統領によるパウエルFRB議長の解任は否定されたものの、両者の間では金融政策の方針をめぐる対立が表面化している。その中、来週は、米国のPCE価格指数や雇用統計といった重要指標の発表を控えており、これらの結果によっては、年内の利下げ観測が後退し、リスク資産全般に再び売り圧力がかかる可能性もある。

一方で、来週はマイクロソフト、メタ、アマゾンといった米ハイテク大手の決算に加え、ビットコインを大量保有するマイクロストラテジーの決算も予定されている。今後のビットコイン購入方針などが明るく示されることで、投資家や企業の買いを後押しする面はあるだろう。

ただし、米中対立の激化や、ロシア・ウクライナ戦争の停戦交渉難航といった地政学リスクも意識される中、市場ではリスクオフムードが継続すると思われる。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=95,000ドル(約1,349万円)、下値はBTC=85,000ドル(約1,207万円)を意識する。

来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ

経済指標

  • ユーロ圏、1-3月四半期域内GDP<速報値>(4/30)
  • 米国、1-3月四半期実質国内GDP<速報値>(4/30)
  • 米国、3月個人消費支出(4/30)
  • 日本、日銀金融政策決定会合(4/30-5/1)
  • 米国、4月ISM製造業景況指数(5/1)
  • 米国、4月雇用統計(5/2)

企業決算

  • 米国、マイクロソフト【MSFT】(4/30)
  • 米国、メタ・プラットフォームズ【META】(4/30)
  • 米国、アマゾン・ドットコム【AMZN】(5/1)
  • 米国、マイクロストラテジー【MSTR】(5/1)

ニュースレターを無料購読していただくと、毎週月曜日の17:00に最新のニュースレターをお届けいたします。

Comments are closed.