今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは米国景気後退懸念やビットコイン政策期待の後退を背景に軟調な推移となった。
- 来週のビットコインはFOMC次第では持ち直す展開が期待される。SEC暗号資産タスクフォースの初会合にも要注目。直近の価格レンジとして、上値はBTC=90,000ドル(約1,332万円)、下値はBTC=75,000ドル(約1,110万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米国景気後退懸念や政策期待の後退により軟調推移
ビットコインは米国景気後退懸念やビットコイン政策期待の後退を背景に軟調な推移となった。
7日には、トランプ大統領がビットコイン準備金設立に関する大統領令に署名したと報じられた。しかし、押収分の保有継続のみが明示され、新規購入計画が含まれなかったことから、市場では期待外れとの見方が広がった。ホワイトハウス主催の暗号資産サミットも具体策を欠く内容となり、ビットコインは失望売りが強まった。
さらに、米国による関税強化策が景気後退を招くとの懸念が広がり、ハイテク株を中心に米国株が大幅安となる中、ビットコインも一時BTC=80,000ドル(約1,184万円)を割り込んだ。この局面では、トランプ大統領が景気後退リスクへの言及を避けたことも、市場の不透明感を強める要因となった。
その後、ウクライナが米国提案の30日間停戦を受け入れる方針を示したことで地政学リスクが後退。また、2月の米消費者物価指数が市場予想を下回ったことでインフレ懸念も和らぎ、米国株とともにビットコインも買い戻される動きとなった。
しかし、トランプ大統領が欧州の対抗関税に応じる姿勢を示したこともあり、ビットコインは上値の重い展開が続いた。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用者数は堅調ペース維持も失業率は上昇、労働市場の軟化示唆
- トランプ大統領、米経済は「過渡期」にある-景気減速懸念かわす
- ウォール街、リスクから撤退の流れ-トランプ氏の政策の影響を懸念
- トランプ氏、欧州の対抗関税に「もちろん対応」-報復の応酬に
- 米CPI、予想下回る伸び-トランプ関税の影響まだ顕在化せず
暗号資産市場
- トランプ大統領、ビットコイン準備金設立の大統領令に署名
- 米国初の仮想通貨サミット、重要進展なし FIFAコイン発表も
- イーサリアム「ペクトラ」、テスト不具合でメインネット実装延期に
- 「米国はビットコイン超大国になる」ホワイトハウス宣言
- ユタ州ビットコイン準備金法案が事実上敗北、BTC投資条項削除で可決
- 日本政府、資金決済法改正案を閣議決定
- 米国通貨監督庁、銀行仮想通貨業務の規制を大幅緩和
- 100万BTC取得目指す ルミス議員、トランプ大統領のビットコイン準備金計画を法制化するBITCOIN法案を再提出
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はFOMC次第では持ち直す展開が期待される、SEC会合にも要注目
米トランプ政権による強硬的な関税政策を受け、市場ではインフレ再燃と景気減速への警戒感が高まっている。こうした中、投資家のリスクオフ姿勢が強まっており、ビットコインも売りが継続する可能性がある。一方で、来週のFOMCでは金利据え置きが見込まれるものの、パウエルFRB議長のハト派的なスタンスが示されれば、米国株やビットコインにとって支えとなる展開も期待される。
また、米国のビットコイン準備金構想が市場期待に届かなかったことで買い材料が乏しい状況だが、ルミス上院議員が100万BTC購入計画を盛り込んだ法案を再提出するなど、今後の動き次第では期待が再燃する可能性も残る。さらに、来週予定されるSEC暗号資産タスクフォースの初会合では、暗号資産の証券性を巡る定義の議論に進展がみられるか注目が集まる。米国の規制方針が見え始めれば、投資家や事業者も新たに動きやすくなり、市場にとってはプラス材料となるだろう。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=90,000ドル(約1,332万円)、下値はBTC=75,000ドル(約1,110万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 米国、2月小売売上高(3/17)
- 米国、FOMC(3/18-19)
- 日本、日銀金融政策決定会合(3/18-19)
- ユーロ圏、2月消費者物価指数<改定値>(3/19)
- 日本、2月全国消費者物価指数(3/21)
暗号資産関連イベント
- 米国、SEC暗号資産タスクフォース円卓会議(3/21)
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