今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、ビットコインは、パウエルFRB議長のタカ派寄り発言後に一時反発したものの、米株式市場の調整リスクが警戒される中で下落基調が続いた。
- 来週のビットコインは、米政府閉鎖を巡る不透明感や米株式市場の調整リスクが警戒されつつも、下値は限定的で底堅い推移を予想する。直近の価格レンジとして、上値はBTC=110,000ドル(約1,694万円)、下値はBTC=95,000ドル(約1,463万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米株式市場の調整リスクが重石となり、一時10万ドル割れ
ビットコインは、ビットコインは、パウエルFRB議長のタカ派寄り発言後に一時反発したものの、米株式市場の調整リスクが警戒される中で下落基調が続いた。
週初、前週のFOMC後にパウエル議長が12月の追加利下げについて慎重な姿勢を示したことで、金利先高観が意識され、ビットコインは軟調に推移した。ただし、短期的な売られすぎ感や米国株の自律反発を背景に、一時BTC=110,000(約1,694)ドルを回復した。
しかし、米政府閉鎖が史上最長を更新し、経済損失拡大への懸念が強まると、市場全体でリスク選好ムードが後退。投資家が積極的なポジション構築を控えるなか、ビットコインも方向感を欠くもみ合い相場となった。
その後、古参の分散型取引所Balancerで大規模なハッキング事件が発生したことに加え、一部の暗号資産トレジャリー企業が保有BTCの売却に動いたと伝えられ、暗号資産市場全体への信認が揺らいだ。これをきっかけに投資家心理が冷え込み、ビットコインには再び売りが広がった。
さらに、ゴールドマン・サックス【GS】とモルガン・スタンレー【MS】のCEOが「米株式市場が調整局面に入る可能性がある」との見方を示したことで、割高感の意識されたハイテク株を中心に米国株が下落。リスク回避姿勢の強まりから、ビットコインも連れ安となり、一時BTC=100,000ドル(約1,540万円)を割り込んだ。
その後発表された民間のADP雇用統計では雇用の持ち直しが確認され、米国株が反発したことを受けて、ビットコインもBTC=104,000ドル(約1,601万円)付近まで反発した。もっとも、市場を取り巻く不透明感は払拭されず、相場の戻りは鈍いまま週を終えた。

今週のトピックス
金融市場
- ウォラーFRB理事、「12月利下げを私は主張し続ける」-労働市場を懸念
- クックFRB理事、インフレ加速より雇用下振れのリスクを重大視
- SF連銀総裁、12月利下げに慎重姿勢-予断を持たずに判断
- 米政府閉鎖が36日目に突入、過去最長更新-空の旅や国民生活に影響
暗号資産市場
- ストラテジー3Q決算、純利益4300億円 前期比で大幅減少
- コインベース決算、純利益666億円に急増 仮想通貨市場のボラティリティから恩恵
- オーストラリア、仮想通貨を金融商品に分類へ ステーブルコイン事業者にはライセンス義務
- 金融庁、ビットコインなど暗号資産ETF関連デリバティブの国内提供を「望ましくない」と牽制
- Balancerの不正流出受けて、L1「ベラチェーン」ネットワークを停止
- 米上場セカンス、保有ビットコインから970BTC売却で債務削減
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は米株調整リスクと政府閉鎖による不透明感のなか、下値を固める展開か
来週のビットコインは、米政府閉鎖を巡る不透明感や米株式市場の調整リスクが警戒されつつも、下値は限定的で底堅い推移を予想する。
米株式市場の調整リスクが警戒される一方、米政府閉鎖の影響で主要経済データの公表が滞っており、市場は明確なカタリストを欠いたまま方向感を模索している。現時点では、調整の契機がどこになるかを見極めるのは難しいものの、米政府閉鎖の解除がその引き金となる可能性もある。短期的に米国株がさらに調整を深めた場合には、ビットコインにもリスク回避的な売り圧力が波及するリスクが残る。
また、暗号資産市場特有のリスクにも注意が必要だ。暗号資産トレジャリー企業による保有BTCの売却が拡大すれば、企業レベルでの狼狽売りを通じて相場が一段安となる懸念がある。特に、市場調達環境の悪化を背景にBTC担保ローンによる資金調達を発表したメタプラネット(3350)の動向は注視したい。
もっとも、ビットコインはすでに過去最高値から20%程度調整しており、過去のボラティリティ水準を踏まえると、下値余地は限定的とみられる。仮に調整が拡大した場合でも、BTC=100,000ドル(約1,540万円)を割り込む水準では押し目買いが入りやすく、相応に底堅さを示す展開となろう。
また、ステーブルコインのデペッグやDeFi関連のハッキングが続いたことで市場の信頼感は一時的に低下しているが、来週予定されている米サークル社【CRCL】の決算発表が注目される。同社がコインベース【COIN】に続き堅調な業績を示せば、暗号資産関連事業への安心感から市場の信認回復につながり、買い戻しのきっかけとなる可能性がある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=110,000ドル(約1,694万円)、下値はBTC=95,000ドル(約1,463万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標・イベント
- 米国、10月消費者物価指数(11/13)
- 米国、10月小売売上高(11/14)
- ユーロ圏、7-9月四半期域内GDP<改定値>(11/14)
企業決算
- 米国、サークル・インターネット・グループ【CRCL】(11/12)
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