今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、トランプ政策への警戒感から軟調に推移したが、米国における暗号資産規制の進展への期待により底堅く推移した。
- 来週のビットコインは、金融当局のポジティブな動きが続けば、安定した推移を維持する可能性が高い。さらに、民間セクターにおいても新しい動きが生まれれば、上昇基調を取り戻す展開も想定される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,560万円(102,000ドル)、下値はBTC=1,453万円(95,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米国の暗号資産規制整備への期待で底堅さを維持
ビットコインは、トランプ政策への警戒感から軟調に推移したが、米国における暗号資産規制の進展への期待により底堅く推移した。
鉄鋼・アルミへの関税強化や相互関税の導入などトランプ大統領の強硬的な政策が止まず、リスクオフの動きによってビットコインは売り優勢の展開となった。加えて、大手暗号資産取引所バイナンスが1月に自己保有の暗号資産を大量に売却していたことが明らかになり、市場の不安心理が強まったことで売り圧力が加速した。
しかし、ストラテジー【MSTR】によるビットコイン購入の再開や、米国でのアルトコイン現物ETFの審査開始といったポジティブ材料もあり、BTC=1,453万円(95,000ドル)付近では底堅く推移した。1月の米消費者物価指数が市場予想を上回る結果になったことで一時的に急落したが、米商品先物委員会(CFTC)の委員長に暗号資産推進派が指名されたことが報じられると、買い戻しが進んだ。また、パウエルFRB議長が暗号資産関連企業への銀行サービス提供に関して再び言及したことも市場の安心感につながった。
さらに、コインベース【COIN】の決算がアナリスト予想を大幅に上回り、同社の株価が上昇したことも、ビットコインの買い支え要因となった。
今週のトピックス
金融市場
- トランプ氏、鉄鋼とアルミに25%関税発表へ-日鉄はUSS過半保有せず
- イスラエルは停戦合意破棄を、ハマスが人質解放拒否なら-トランプ氏
- アルトマン氏「ノーサンキュー」、マスク氏らのオープンAI買収提案に
- ウクライナ停戦交渉開始、米ロ首脳が合意-米政策は大きな転換点に
- 遠ざかる追加利下げ、米CPIは予想上回る-住居費や食品上昇が影響
- パウエル議長、FRBの仕事は終わっていない-CPI統計受け
- トランプ米大統領、金利引き下げを要求-FRBへの圧力強める
暗号資産市場
- 公的資金のビットコイン投資、米国17州で法整備進む
- 金融庁、仮想通貨の有価証券並「金融商品」の扱い検討か 税率引き下げやETF見据え
- バイナンス、相場ピーク時に自社資産のビットコインなどを大量売却 罰金支払いのためか
- ストラテジー、ビットコインの追加購入を再開
- 仮想通貨カストディ大手BitGO、IPO計画か
- 米SEC、複数のソラナ現物ETF申請を審査開始
- 仮想通貨推進派の前CFTC委員、トランプ大統領がCFTCの委員長に指名
- 米20州でビットコイン準備金法案検討、VanEckが3.5兆円規模の需要を試算
- 金融庁、暗号資産・ステーブルコインの送金決済規制見直しへ本腰
- パウエルFRB議長「仮想通貨企業の銀行アクセス問題を再検討すべき時」
- ウォラーFRB理事、ステーブルコインがドルの役割を拡大する可能性
- コインベース好決算、株価一時300ドル台回復
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は民間セクターの新しい動きが続けば上昇基調を取り戻すか
トランプ大統領の関税強化政策は引き続き注視が必要だが、市場の反応は以前より落ち着き、過度な懸念は後退しつつある。しかし、今後の交渉次第では米中関係が悪化し、市場のリスクオフが強まることで、ビットコインなど暗号資産が短期的に売られる展開も考えられる。さらに、トランプ大統領はロシア・ウクライナ戦争や中東情勢への関与を強めており、地政学リスクの拡大が懸念される。特に、米国の介入が深まれば金融市場全体のボラティリティが上昇し、暗号資産市場にも影響が及ぶ可能性がある。
一方、米国ではSECとCFTCの委員長に暗号資産推進派が就任し、これまで対立していた両機関の協力により、規制の整備が加速することが期待される。また、FRBの議長や理事も暗号資産に言及し、前向きな姿勢を示している。こうした金融当局のポジティブな動きが続けば、ビットコインは安定した推移を維持する可能性が高い。さらに、大手企業によるビットコイン購入や暗号資産関連企業のIPOなど、民間セクターにおいても新しい動きが生まれれば、上昇基調を取り戻す展開も想定される。
こうした動きは日本にも波及しており、金融庁は暗号資産を金商法下に置くことを検討している。今年6月までに制度改正の方針を発表するとのことで、その内容が明らかになるにつれて、国内でも暗号資産への関心が高まることが期待される。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,560万円(102,000ドル)、下値はBTC=1,453万円(95,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- 日本、10-12月期四半期実質GDP(2/17)
- 米国、FOMC議事要旨(2/19)
- 日本、1月全国消費者物価指数(2/21)
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