今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米中通商交渉の不透明感やトランプ関税リスクの再燃を背景に、軟調な展開となった。
- 来週のビットコインは底堅い展開を予想する。米CPIと関税協議次第では売りに警戒が必要。直近の価格レンジとして、上値はBTC=108,000ドル(約1,544万円)、下値はBTC=100,000ドル(約1,430万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米中対立やトランプ関税リスクを背景に軟調な展開
ビットコインは、米中通商交渉の不透明感やトランプ関税リスクの再燃を背景に、軟調な展開となった。
トランプ大統領やベッセント財務長官の発言を受けて、米中通商交渉を巡る懸念が強まった。さらに、鉄鋼・アルミ製品への輸入関税を引き上げるとの表明も重なり、リスクオフの流れが強まる中で、ビットコインはBTC=104,000ドル(約1,487万円)付近まで下落した。
その後、トランプ大統領と習近平国家主席による電話会談の可能性が報じられると、米中通商交渉の進展への期待から徐々に買い戻しが進行した。エヌビディア【NVDA】など半導体株が上昇したことや、マイクロストラテジー【MSTR】とメタプラネット(3350)による追加購入も下支え材料となり、ビットコインはBTC=106,000ドル(約1,515万円)を回復した。
しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)当局者から利下げに慎重な発言が相次いだほか、関税引き上げによる景気への悪影響も懸念され、ビットコインは上値の重い展開となった。トランプ米大統領がイーロン・マスク氏との政府契約の打ち切りを示唆したことでテスラ[TSLA]が急落。ビットコインも一時BTC=100,000ドル(1,430万円)付近まで大きく下落した。米雇用統計の発表を控え、またトランプ・習両首脳の対話の行方を見極めようとする姿勢もあり、市場全体には警戒感が広がった。
今週のトピックス
金融市場
- ウォラーFRB理事、年内利下げを予想-一時的なインフレ高進でも
- 中国、貿易休戦に米が違反と非難-断固たる措置講じると商務省
- EU、対米報復関税を前倒しも-鉄鋼・アルミ関税50%に反発
- 韓国大統領選、野党の李在明候補が勝利-非常戒厳後の混乱に終止符
- 米鉄鋼・アルミ関税、4日から50%に上げ-トランプ大統領が署名
- アトランタ連銀総裁、インフレ面でさらなる進展望む-利下げに急がず
- FRBクック理事、物価安定の重要性を強調-力強い労働市場の達成で
- 米ISM製造業指数、3カ月連続で縮小-輸入は16年ぶり低水準
- 米ISM非製造業指数、約1年ぶりの縮小圏転落-需要急減が響く
暗号資産市場
- ソフトバンク出資の『21キャピタル』、ビットコイン買い増しで144億円追加調達
- トランプ政権、年金での仮想通貨投資制限を撤廃
- ロシア中央銀行、適格投資家向け仮想通貨連動商品を解禁
- メタプラネット、ビットコイン168億円分追加購入 保有量8,888BTC達成
- ロシア最大手銀行Sberbank、ビットコイン仕組債を提供開始
- テキサス州議会がビットコイン準備金法案を最終可決 知事署名待ちに
- 8週連続でビットコイン買い増し ストラテジー社、新たな優先株式発行も
- 政府のビットコイン支払い受入れ法案、カリフォルニア下院で可決 上院審議へ
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は底堅い展開を予想、米CPIと関税協議次第では売りに警戒か
来週のビットコインは底堅い展開を予想する。
米国による関税上乗せ措置の停止期限が約1ヶ月後に迫る中、トランプ大統領は各国に対して協議の加速を強く求めている。中国をはじめとする貿易交渉が難航した場合は、リスクオフの流れからビットコインにも売りが波及する可能性がある。一方、英国に続き他国とも合意が成立すれば、関税リスクの後退を好感して買いが強まることも考えられる。
また、米5月消費者物価指数がインフレの高止まりを示唆する内容だった場合、6月FOMCでの利下げ期待が後退し、ビットコインの下押し要因となる恐れもある。貿易交渉の行方が不透明な中では、金融政策への注目度が一段と高まっており、FOMCまでは様子見姿勢が継続しやすいだろう。
一方で、市場の不透明感が高まっているからこそ、個人だけでなく企業によるビットコイン購入の動きも増えており、相場を底堅くしている。加えて、米州におけるビットコイン準備金法案の進展も重なれば、ビットコイン単独で価格を伸ばす展開も期待される。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=108,000ドル(約1,544万円)、下値はBTC=100,000ドル(約1,430万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標
- 日本、1-3月四半期実質GDP<改定値>(6/9)
- 米国、5月消費者物価指数(6/11)
- 米国、5月卸売物価指数(6/12)
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