今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは中東情勢の緊迫化を背景に大きく乱高下する展開となった。
- 来週のビットコインは、トランプ関税交渉および中東情勢の進展を見極めつつ、全体としては不透明感の後退を背景に堅調に推移することが予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=110,000ドル(約1,584万円)、下値はBTC=103,000ドル(約1,483万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):中東情勢の緊迫化を背景に大きく乱高下
ビットコインは中東情勢の緊迫化を背景に大きく乱高下する展開となった。
イランとイスラエルの軍事衝突、さらに米国によるイラン核施設への攻撃が伝わると、リスクオフの流れが急速に強まり、一時はBTC=100,000ドル(約1,440万円)を割り込んだ。しかし、イラン側の報復が限定的にとどまったことや、テキサス州でビットコイン準備金法案が成立したことを好感し、買い戻しが進んだ。
その後、トランプ大統領による両国の停戦合意発表を受けてリスク資産全般が反発。ナスダック100が史上最高値を更新する中、ビットコインもBTC=105,000ドル(約1,512万円)付近まで急騰した。
イスラエルとイランの間で停戦違反が一部報じられたものの、大規模攻撃には至らず、地政学リスクが後退したことでBTC=108,000ドル(約1,555万円)付近まで価格を伸ばした。米議会証言においてパウエルFRB議長が暗号資産に対する規制整備に肯定的な姿勢を示したことも安心感につながった。
今週のトピックス
金融市場
- トランプ氏、中東紛争から距離置く方針を急転換-関与長期化の懸念も
- 中東情勢緊迫化で原油価格に急騰の気配-米国がイラン核施設を攻撃
- イスラエル、イランとの停戦に合意-トランプ氏が発効を発表
- トランプ大統領、米はイランと来週協議へ-中東での戦争「終わった」
暗号資産市場
- USDC発行サークル社の株価が大幅続伸 投資銀行シーポート「買い推奨」などで
- 米テキサス州、ビットコイン準備金設立法案を成立 ニューハンプシャー州に続く
- メタプラネット、テスラに次ぐビットコイン保有世界8位に 1,111 BTC追加購入で
- FRBパウエル議長「銀行は仮想通貨活動を自由に行うことができる」=議会証言
- 仮想通貨の広範な普及を促進へ マスターカードとチェーンリンクが提携
- 金融庁、金商法移行を本格検討 分離課税やビットコインETFの機運高まる
- アリゾナ州下院、押収仮想通貨による準備金設立の法案を可決 知事の署名待ち
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)は不透明感後退で堅調な推移を予想するも、トランプ関税と中東情勢に警戒継続
来週のビットコインは、トランプ関税交渉および中東情勢の進展を見極めつつ、全体としては不透明感の後退を背景に堅調に推移することが予想される。
米上乗せ関税の停止期限(7月9日)を前に、米国と各国との貿易協議が進展した場合、リスクオフムードが和らぎ、リスク資産への資金流入が強まると考えられる。一方、新たな動きが見られず、トランプ大統領の発言によって通商政策へ懸念が再燃した際には、再び売りが強まる懸念もある。
また、米国とイランの会談が予定されており、和平合意に至った場合は、中東リスクの後退により上昇の勢いが増す展開も想定される。反対に、協議がまとまらず、緊張が再び高まる場合にはリスク回避の売りが意識されるだろう。
金融政策面では、米当局者の発言を受けて7月FOMCでの利下げ観測が高まりつつある。米雇用統計等が利下げを支持する内容となった場合、相場はポジティブに反応する可能性がある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=110,000ドル(約1,584万円)、下値はBTC=103,000ドル(約1,483万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標
- 日本、4-6月期日銀短観(7/1)
- ユーロ圏、6月消費者物価指数<速報値>(7/1)
- 米国、6月ISM製造業景況指数(7/1)
- 米国、6月ISM非製造業景況指数(7/3)
- 米国、6月雇用統計(7/3)
- 米国、独立記念日(7/4)
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