今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、ジャクソンホール会議を前に米国株の割高感が意識される中、軟調に推移した。
- 来週のビットコインは、パウエルFRB議長発言を受けた市場のセンチメントに加え、週後半に控える主要経済指標の結果次第で大きく揺れ動く展開が予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=118,000ドル(約1,746万円)、下値はBTC=110,000ドル(約1,628万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):ジャクソンホール会議を前に売り優勢の展開
ビットコインは、重要イベントを前に米国株の割高感が意識される中、軟調に推移した。
注目された米ロ首脳会談は目立った合意に至らず市場の失望を誘い、さらにトランプ大統領による鉄鋼・アルミ関税拡大発表も重石となった。悪材料が重なったことで米国株、特に割高感の強いハイテク株が売られ、この流れを受けてビットコインもBTC=113,000ドル(約1,672万円)付近まで下落した。
一方で、メタプラネット(3350)やストラテジー【MSTR】による追加購入の動きが下支え要因となった。しかし、FOMC議事要旨では利下げ開始時期を巡る当局者の見解相違が浮き彫りとなり、不透明感が一段と強まった。加えて、クックFRB理事のスキャンダル疑惑やイスラエルによるガザ侵攻も投資家心理を冷やし、相場は重い展開が続いた。
市場の関心は22日のジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長講演に集まっており、今後の金融政策の方向性を示す発言が相場を左右する見通しだ。
今週のトピックス
金融市場
- トランプ氏、鉄鋼・アルミ関税を拡大-ベビー用品やオートバイも対象
- 米消費者心理が悪化、関税でインフレ期待上昇-ミシガン大調査
- 米ロ、ウクライナへの安全保障で一致-18日会談には欧州首脳も参加
- ハマス、ガザ停戦案を承諾-イスラエルの受け入れは楽観できず
- FOMC議事要旨、雇用よりインフレのリスク大きいと大半が判断
- クックFRB理事、辞任を強要されるつもりはない-トランプ氏の要求で
暗号資産市場
- メタプラネット、137億円でビットコインを追加購入
- ストラテジー社、株式発行の基準を緩和 ビットコイン買い増しは76億円相当
- 金融庁、日本円建てステーブルコイン「JPYC」承認へ=日本経済新聞
- 仮想通貨取引所ジェミナイがIPO届出書公開 リップル社からの信用枠も設定
- シティ、ステーブルコインとビットコインETF向けカストディを検討
- 米SEC、複数の仮想通貨ETFの承認判断を延期
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はパウエルFRB議長発言とインフレ指標次第で方向感を探る展開
来週のビットコインは、パウエルFRB議長発言を受けた市場のセンチメントに加え、週後半に控える主要経済指標の結果次第で大きく揺れ動く展開が予想される。
ジャクソンホール会議後、米国の利下げ観測が強まればリスク資産全体が持ち直す展開が期待される。一方で、関税に伴うインフレ懸念が根強いなかで利下げ期待が後退すれば、売り圧力が一段と強まるリスクもある。
当局者がインフレを警戒する中で、特に注目されるのが7月のPCE指数(個人消費支出)だ。結果が予想を上回れば、インフレ懸念の高まりと利下げ期待の後退により、ビットコインが下落する可能性がある。逆に予想を下回れば、インフレ鈍化を確認する材料となり、ビットコインの反発を後押しするだろう。
また、メタプラネット(3350)の株価下落によりビットコイン財務戦略企業に対する関心は一服しているものの、米国における規制整備の進展を背景に企業の参入が続けば、相場の下支え要因になるだろう。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=118,000ドル(約1,746万円)、下値はBTC=110,000ドル(約1,628万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標・イベント
- 米国、4-6月期四半期実質国内GDP<改定値>(8/28)
- 米国、7月個人消費支出(8/29)
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