今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、米国大統領令に対する失望感から一時急落したものの、パウエルFRB議長の発言を受けて大きく反発し、下落分を回復した。
- 来週のビットコインは、パウエルFRB議長の発言をきっかけに上昇を再開するか。米主要経済指標の発表には注視。直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,705万円(110,000ドル)、下値はBTC=1,550万円(100,000ドル)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米国の規制進展への期待が相場を下支え
ビットコインは、米国大統領令に対する失望感から一時急落したものの、パウエルFRB議長の発言を受けて大きく反発し、下落分を回復した。
トランプ米大統領が署名した暗号資産関連の大統領令では、規制整備に関する方針が示されたが、ビットコイン準備金の創設については可能性を検討するにとどまった。この発表を受け、市場には失望感が広がり、材料出尽くしと受け止められたことも影響し、ビットコインはBTC=1,534万円(99,000ドル)付近まで急落した。ウォール・ストリート・ジャーナルがマイクロストラテジー【MSTR】のビットコイン含み益に対する税金リスクを報じたことも嫌気された可能性がある。
その後、ディープシークショックの影響で、エヌビディア【NVIDA】をはじめとするハイテク株が大きく下落する中、ビットコインは不安定な値動きとなった。しかし、米SECによるSAB121ルールの撤回や、米CFTCによる公開会議の予定など、暗号資産規制関連のポジティブな動きもあり、BTC=1,550万円(100,000ドル)付近で底堅く推移した。
注目されたFOMCでは、市場予想通りの金利据え置きが発表され、無難な内容となったものの、パウエルFRB議長が暗号資産関連企業に対する銀行サービスの提供に関して前向きに発言。この発言を受け、ビットコインはBTC=1,627万円(105,000ドル)付近まで大きく上昇した。
今週のトピックス
金融市場
- 日銀が17年ぶり0.5%に利上げ、今後は予断持たず毎回会合で判断と総裁
- 日銀審議委員に小枝早大教授、政策正常化を支持の可能性-政府提示
- 日銀の貸出増加支援制度が終了へ、バランスシート正常化に一段と前進
- トランプ氏の助成金凍結命令、実施なら半導体支援プログラムに影響
- DeepSeekがオープンAIデータ不正入手か、マイクロソフト調査中
- パウエル議長、長期の金利据え置き示唆-トランプ氏の政策見極めへ
- トランプ大統領、インフレ巡りパウエル議長非難も金利に言及せず
暗号資産市場
- 米SEC、仮想通貨カストディ事業の壁となる「SAB121」ルールを撤回
- ナスダック、ブラックロックのビットコインETFで現物償還へ変更申請
- XRPやライトコインの現物ETF上場申請、グレースケールなども参入
- マイクロストラテジー、3兆円のビットコイン含み益に対する税金リスクに直面か WSJ報道
- マスク氏、米トランプ政権D.O.G.Eでブロックチェーン採用を検討=報道
- マイクロストラテジー、1700億円ビットコイン買い増し 新たな資金調達も発表
- 米CFTC、仮想通貨や予測市場の規制について円卓会議を開催へ
- 米Cboe、ビットコインとイーサリアムETFで現物償還へ変更申請
- 仮想通貨ウォレット開発企業Ginco、不正アクセス被害の手口とDMM Bitcoin不正送金の関係性を公表
- イーロン・マスク率いるX(旧ツイッター)、Visaと提携しウォレット導入
- チェコの中銀総裁、準備金の5%をビットコインで保有することを提案へ
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はパウエルFRB議長発言をきっかけに上昇を再開するか
株式市場では中国のAI企業ディープシークを巡る混乱が話題となっている。この影響でハイテク株の売りが続く場合、リスクオフの動きが暗号資産市場にも波及し、特にAI関連のアルトコインが同様に下落するリスクが高まる。しかし、ビットコインはAI業界との直接的な関連が少ないため、これによる相場への影響は限定的であると予想する。
一方で、パウエルFRB議長が暗号資産の規制緩和に前向きな発言をしたことで、米国における暗号資産推進への期待が再び高まっている。この発言は、規制緩和により業界全体の成長が促進されるとの見方を強めており、続けて規制当局や暗号資産関連企業の新しい取り組みが見られれば、期待継続によって相場がさらに上昇する可能性がある。
しかし、来週に発表される米雇用統計やISM関連指標には注意が必要である。もしこれらの指標が予想以上に強い内容となり、3月FOMCでの利下げ見通しが後退するようであれば、ビットコインの上昇にブレーキがかかる可能性がある。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,705万円(110,000ドル)、下値はBTC=1,550万円(100,000ドル)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- ユーロ圏、1月消費者物価指数<改定値>(2/3)
- 米国、1月ISM製造業景況指数(2/3)
- 米国、1月ISM非製造業景況指数(2/5)
- 米国、1月雇用統計(2/7)
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