今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、トランプ関税リスクの後退により買いが強まったものの、金価格の急落も影響し、次第に上値の重い展開となった。
- 来週のビットコインは、トランプ関税リスクの緩和で買い優勢も、利下げ観測後退が上値圧迫か。直近の価格レンジとして、上値はBTC=106,000ドル(約1,547万円)、下値はBTC=98,000ドル(約1,430万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):トランプ関税リスクの後退で買い強まるも上値は重い
ビットコインは、トランプ関税リスクの後退により買いが強まったものの、金価格の急落も影響し、次第に上値の重い展開となった。
米中通商協議では、双方が関税率を90日間引き下げることで合意に至り、貿易摩擦への懸念が後退した。これを受けてリスク資産の買いが強まり、ビットコインはBTC=105,000ドル(約1,533万円)付近まで上昇した。
一方、ドル指数の急上昇に伴い金価格が大幅下落すると、デジタルゴールドとしての側面を持つビットコインにも売り圧力が波及した。さらに、アリゾナ州で可決されていたビットコイン準備金法案に対して、州知事が拒否権を発動したとの報道が伝わると、投資家心理が冷え込み、価格はBTC=101,000ドル(約1,474万円)まで押し戻された。
その後、マイクロストラテジー【MSTR】など企業によるビットコイン購入発表が相次いだことや、米4月消費者物価指数を受けてインフレ懸念が後退したことが支えとなり、BTC=105,000ドル(約1,533万円)を再び回復した。
しかし、米国金利の上昇により米国株の上値も抑えられる中、ビットコインも勢いを失う展開となった。大型アップデートを成功させたイーサリアムを筆頭に、アルトコインへの資金流入が強まったことも、ビットコインの価格を相対的に押し下げる要因となった。
今週のトピックス
金融市場
- トランプ氏、薬価引き下げで大統領令署名へ-30-80%値下げと主張
- 米中が90日間の関税率引き下げで合意-貿易協議受け共同声明発表
- トランプ氏、習氏との今週末の会談の可能性に言及-関税協議受け
- クーグラーFRB理事、関税の経済的影響は著しい-引き下げでも
- 米CPI、3カ月連続で予想下回る伸び-関税の影響なお限定的
暗号資産市場
- 米民主党議員ら20名、トランプ政権関係者に対する「仮想通貨腐敗(汚職)防止法案」を提出
- ナスダック上場企業、ビットコインなど保有の1億ドル規模準備金創設へ
- コインベース株価9%超上昇、S&P500指数入りを好感
- トランプ大統領のSNS『Truth Social』、ミームコイン発行のうわさを否定
- フランス上場企業、ビットコイン戦略強化のため20億円調達
- マイケル・セイラーのストラテジー社、2000億円相当のビットコインを追加購入
- Janover、約136ドルでソラナを大量購入 10億円以上の含み益に
- 米SEC、ソラナ・ライトコイン現物ETFの判断を延期
- ソフトバンク出資の『21キャピタル』、合併に向け約680億円のビットコイン取得
- ウクライナ、国家のビットコイン準備金創設へ=報道
- リミックスポイント、ビットコインを追加購入 暗号資産保有総額は111億円超に
- メタプラネット1Q決算、ビットコイン投資で135億円の含み益
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はトランプ関税リスクの緩和で買い優勢も、利下げ観測後退が上値圧迫か
来週のビットコインは、好悪材料が交錯する中、もみ合いの展開を予想する。米中通商会議の進展により関税リスクへの警戒感が和らぎ、リスク資産全般に対する買いが継続する可能性がある。一方で、米国経済の見通し改善を受けて年内の利下げ観測は後退している。これに伴いドル高・金利上昇が進んだ場合、金価格の調整とともに、ビットコインの上値が抑えられる展開も想定される。
また、米州によるビットコイン準備金導入への期待が一服し、暗号資産市場では目立った材料に乏しい状況だ。しかし、米国ではコインベース【COIN】がS&P500構成銘柄に採用されるなど、金融市場における暗号資産関連企業の存在感は着実に高まっている。こうした動きは、業界全体の信頼性を高めると同時に、企業や機関投資家によるビットコイン投資を後押しする面もあるだろう。
ビットコインがもみ合う中では、投資家がより大きなボラティリティを求めてアルトコイン物色に動く傾向があるため、イーサリアムやソラナなど個別銘柄の値動きと合わせて、ドミナンスの推移にも要注目である。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=106,000ドル(約1,547万円)、下値はBTC=98,000ドル(約1,430万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済指標
- ユーロ圏、4月消費者物価指数<改定値>(5/19)
- 日本、4月全国消費者物価指数(5/23)
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