今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。
- 今週のビットコインは、トランプ関税を受けた市場混乱により下落したものの、関税発動の一時停止を受けて反発し、乱高下の展開となった。
- 来週のビットコインは、米国による相互関税の一部延期を受けて急激な売りは一服するものの、引き続き軟調な展開が続くと予想される。直近の価格レンジとして、上値はBTC=85,000ドル(約1,232万円)、下値はBTC=74,000ドル(約1,073万円)を意識する。
今週の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):トランプ関税の影響で乱高下
ビットコインはトランプ関税の影響で乱高下する展開となった。
2日に発表された米国の相互関税措置を受け、市場では景気減速への懸念が強まり、米国株をはじめとする世界同時株安が進行。キャッシュポジションを高める動きからビットコインも売りが先行し、BTC=75,000ドル(約1,087万円)付近まで急落した。
さらに、中国やEUが報復関税の構えを見せたことで、恐怖指数が新型コロナウイルス発生以来の水準に急上昇した。その中、週明け8日の株式市場が続落し、ビットコインも軟調な推移が続いた。
しかし9日には、トランプ大統領が、報復措置を講じていない国・地域を対象に、上乗せ関税の発動を一時停止すると発表。これにより、株式市場が大きく反発し、ビットコインもBTC=83,000ドル(約1,203万円)付近まで急騰した。
ただし、中国に対しては税率を125%に引き上げたため、米中対立の激化が意識される中、ビットコインは上値の重い展開が続いた。
今週のトピックス
金融市場
- 米雇用者数、予想上回る伸び-大規模関税の前に労働市場は堅調
- トランプ氏、関税で強硬姿勢維持-「市場のことは少し忘れてほしい」
- 米株時価総額、15分で369兆円増減-「90日関税停止」の偽情報に動揺
- 中国首相、「外的ショックに十分な対抗手段」-米関税104%の賦課迫る
- トランプ大統領、上乗せ関税「90日間停止」-対中は125%に引き上げ
暗号資産市場
- 米SEC、USDCなどの米ドル連動ステーブルコインは証券ではないと公式見解
- コインベース、XRP先物取引を4月21日から提供開始へ SEC訴訟解決を受け新商品展開
- 金融庁、暗号資産を2分類する新規制案などで意見募集
- リップルとSEC、和解に向け法的手続き一時停止を共同申請
- 仮想通貨規制の明確化へ 米SEC企業金融局、情報開示に関するガイダンス公開
来週の相場予想
BTC(ビットコイン)はトランプ関税の一部延期で売り一服も軟調基調が続くか
来週のビットコインは、米国による相互関税の一部延期を受けて急激な売りは一服するものの、引き続き軟調な展開が続くと予想される。
当面は、米中関係の行方が市場の方向感を左右すると考えられる。仮に貿易摩擦が激化すれば、リスクオフムードが再燃し、ビットコインにも下押し圧力がかかる懸念がある。また、上乗せ関税の発動を見送った国・地域との交渉が難航した場合も売りを強めるだろう。
こうした中で、マイナーやビットコイン保有企業による売却の動きが確認された時は、さらなる下落リスクに警戒が必要だ。トランプ関税による価格調整が進む中、マイクロストラテジー【MSTR】やメタプラネット【3350】といった保有企業の財務状況が悪化すれば、資産売却を余儀なくされる展開も想定される。
一方で、米国経済の不安定化を背景に、ビットコインが国や経済に左右されにくい「デジタルゴールド」として再評価される可能性もある。景気後退懸念が強まる局面では、逃避資産としての需要が一部で高まり、相対的に価格が維持されることも考えられる。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=85,000ドル(約1,232万円)、下値はBTC=74,000ドル(約1,073万円)を意識する。
来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ
経済イベント・指標
- ユーロ圏、3月消費者物価指数<改定値>(4/16)
- 米国、3月小売売上高(4/16)
- ユーロ圏、ECB理事会(4/17)
- 日本、3月全国消費者物価指数(4/18)
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