相場展望:BTC(ビットコイン)はトランプ政策の不透明感により売りへの警戒が強まるか

今週も暗号資産アナリストの松嶋がビットコイン相場の動向を分析します。

  • 今週のビットコインは、トランプ大統領の関税政策を受け、売り優勢の展開となった。
  • 来週のビットコインは、トランプ政策の不透明感により、売りへの警戒感が強まるか。直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,607万円(105,000ドル)、下値はBTC=1,377万円(90,000ドル)を意識する。

今週の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):トランプ大統領の関税政策を受け、相場の雰囲気は一転

ビットコインは、トランプ大統領の関税政策を受け、売り優勢の展開となった。

1日にトランプ大統領がカナダとメキシコに追加関税を課す大統領令に署名すると、インフレ再燃への懸念が高まり、市場ではリスクオフの動きが強まった。その中、ビットコインは土日も売買できることから、先行して売りが強まった。さらに、各国が米国に対し対抗姿勢を示したことで貿易戦争の警戒感が広がり、一時はBTC=1,408万円(92,000ドル)付近まで急落した。この時、特にリスクが大きいアルトコインは軒並み大幅下落し、イーサリアムは短期的に10%超の下落率を記録した。

その後、トランプ大統領がカナダとメキシコへの関税発動を1ヶ月延期したことで、ビットコインは急反発し、BTC=1,530万円(100,000ドル)を回復した。しかし、米国は中国への攻勢を弱めず、米中対立も意識される中で弱気相場が続いた。こうしたトランプ大統領の政策を巡る不透明感を理由に、当局者間で利下げに慎重な意見が目立つようになったことも投資家心理を冷やした。

米SECの暗号資産タスクフォースを指揮するへスター・ピアース氏が今後の方針について発言したが、個人的な見解として述べたにとどまったことで、相場への影響は限定的となった。

今週のトピックス

金融市場

暗号資産市場

来週の相場予想

BTC(ビットコイン)はトランプ政策の不透明感により売りへの警戒が強まるか

トランプ大統領の政策が予測不能な形で動き出し、金融市場では不透明感が広がっている。特に、米国と中国の貿易交渉が決裂して関税が強化されれば、インフレ懸念の再燃につながり、リスク資産全般の売りが強まる可能性がある。一方で、今回のように相手国の譲歩を受けて関税措置を見送るケースも出てきたため、市場はトランプ大統領の行動への過度な反応を次第に控えるようになると考えられる。

こうした動きを受け、米国では追加利下げに慎重な意見も増えつつある。1月の米消費者物価指数が市場予想を上回る伸びとなった場合、利下げ観測がさらに後退し、米国株とともにビットコインも売られる可能性がある。逆に利下げを支持する内容となれば、相場を下支えする要因になるだろう。

また、暗号資産市場は目立ったニュースに乏しい状況だが、コインベースの決算に注目である。相場上昇に伴う取引手数料の増加はもちろんのこと、カストディやBASEチェーンなど、収益の多様化を印象づける内容となれば、暗号資産市場への注目が高まり、相場もポジティブに反応することが期待される。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=1,607万円(105,000ドル)、下値はBTC=1,377万円(90,000ドル)を意識する。

来週のトピックス:暗号資産市場に影響しうる指標をピックアップ

経済イベント・指標

  • 米国、1月消費者物価指数(2/12)
  • 米国、1月卸売物価指数(2/13)
  • 米国、1月小売売上高(2/14)

決算発表

  • コインベース【COIN】(2/13)

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